本書には、日本の外務省の幹部職員の中の何人もが、実名で登場する。森健良事務次官（当時）もその一人で、森次官がわざわざ山上大使に電話してきて、後ろ向きの指示を出したことも率直に紹介されている。
その意味で、本書には、一種の「暴露本」のような面がある。しかし、それは、「実に健全な」暴露本である。健全な外交、官僚、行政を願う意味で、その暴露、即ち、事実を明らかに知らしめることは、非常に重要であり、必要なことである。その意味で、本書は広く読まれてほしい。
さらに、もう一つ、本書が広く読まれてほしい理由がある。それは、本書には、「こういう場合には、こうしたらよい」という具体的な「方法論」「知恵」が紹介されていることである。それは、すばらしいケーススタディであるとともに、非常に優れた「実務マニュアル」としても使えるものなのだ。
これらは、国際舞台で活躍する日本の商社マン、金融マン、産業人だけでなく、日本も外交官たちに、修得・活用していただきたい。
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