カスタマーレビュー

2024年6月29日に日本でレビュー済み
『美食の教養』は、グルメ・食について書かれているだけの本ではなく実践的なビジネス書である。著者はビジネス用語や経済用語を極力使わず、平易な表現で書かれているが、文化人類学的考察はもちろんのこと、マーケティング、美術や音楽の基礎教養、移民や王権の歴史、限界効用の逓減や選好といった経済学の基礎、文化・観光政策、水産学など、国際的なビジネスパーソンに必要な知識を具体例を交えて解説している。また、店選びや評価基準など、実践的な知恵も豊富に含まれている。

他方、いくつかのグルメ本にありがちなレストラン・料理人の過剰な持ち上げはなく、フェアであり、ときに厳しいコメントも含まれている。しかし、それらに説教臭さを感じさせないのは、筆者の食とそれを創り出す料理人・クリエイターや職人への深い愛情が貫かれているからであろう。

非常に野心的な書籍であり、この種の本にありがちな一度読んで終わりの本ではなく、何度も読み返す価値のある一冊である。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート 常設リンク

商品の詳細

5つ星のうち4.2
74 件のグローバル評価