Amazon.co.jp：カスタマーレビュー: なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)

上位の肯定的レビュー

肯定的なレビュー›

いな人

日本の最高学府の深刻な問題点がよく分かる

2024年6月13日に日本でレビュー済み

ここ30年来の日本経済の停滞、政治の諸問題、そして霞ヶ関の体たらくの根元は東大にあることが、よく理解できる。その根本にジェンダーギャップが横たわっている。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

上位の批判的レビュー

批判的なレビュー›

Amazonカスタマー

中身が薄いと思った

2024年3月10日に日本でレビュー済み

タイトルでうっかり買ってしまった本。内容が無いよう。。。

文字数稼ぎなのか分からないが、つまらない事が沢山書いてある。自分は男だから気づくのが遅かったけど云々、女性を女子と呼ぶのは失礼だから云々。

そんな事わざわざ本で堂々と書くことなんでしょうか。こんなタイトルの本を手に取る読者を何だと思っているのだろう。

男女格差に関心がある人が読むべき本は、他にある気がします。

18人のお客様がこれが役に立ったと考えています

サインインしてレビューを絞り込む

37件の合計評価、レビュー付き:16

レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

日本から

いな人

日本の最高学府の深刻な問題点がよく分かる

2024年6月13日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

2024年2月20日に日本でレビュー済み

東大がいかに長く女性たちを顧みなかったかを様々な資料をもとに読み解く。過去の教授陣からの発言内容は凄まじく、いかに東大が男性のための大学であったかがよくわかる。

興味深いのは、経営のために共学化に踏み切ったプリンストンの例だ。結果的に社会の要請に応えることになったが、アメリカの大学がいかに、寄付金やトップレベルの学生からの評判を気にしているかわかり興味深い。

クォーター制はさておき、読み物としても大変面白くお勧めしたい。

23人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

野崎洋子

素晴らしい熱意の一冊。これを書いてくれた著者に感謝！

2024年3月25日に日本でレビュー済み

いやーーー　びっくらこいた。これが現実なのか？　まったく目を疑う。そして東大がこれじゃ政治家とか、日本の企業のトップとかの、今の体たらくぶりは理解できるよー。すごい世界だよー。日本の上層部って（大雑把）、こんなんなってるの？　えーーーーっっ？！

最初の方に出てくる東大女子加入NGのサークルがあるということ。でも確かにそんな話は聞いたことがある。東大だけじゃなく、リベラルと言われる早稲田とかでも、そういうサークル存在してなかったけか？　

そしてそのサークルでは、東大に入学した（頭のいい）女性たちを排除し、他大学の女子たちをサークルにいれ（しかも大学のご指名まであるという。何様？！）飲み会などでクイズをだし女子大生の「ばかいじり」に興じているのだという。

おい、おい、おい…

でもサークルって学生の自治のはずだから、人間はほっとくとこういうことになるという、これが正直な縮図なのかもしれないとも思う。つまりおそらくネイチャー的に、男は女をバカにする存在なのだということだ。

それに自覚を持ち、矯正していくのが人間なのだと思うのだけど…。いやぁ、びっくらこいた。

つまり頭のいい男性にとって、頭のいい女は、そんな扱いなのかー　頭の悪い女は女で、そんな扱いなのかーと、もう驚愕。この本を読んでて最初に頭に来たのはそこである。

こういう学校から政治家や企業のトップが出てくるんだもん、これじゃあ日本の社会はこうだよね、と妙に納得。

この世代の女性たちは本当に素晴らしい。上野先生の「がんばったら報われる、そう思えること自体が環境のおかげ」というお話は一時かなり話題になった。あれは上野先生らしい「作戦」だったと思うのだが、そのことももちろんこの本には載っている。

学校っていったいどういう場所なんだろうな、大学ってなんなんだろう、って真剣に考えちゃったよ。こういう学校が日本の最高府なのだから、呆れる。

この本は、最初は学部内の女性比率の話題から、東大に入ってくる高校生の出身校（これが見事に男子校ばっか！）などの話から、女性のいない東大キャンパスには、女性の銅像もないということなど、「言われてみれば」みたいに気づかないことまで、どんどん掘り下げていく。著者がしっかりと時間をかけて情報を集め、書いているのが手にとるようにわかる。

東大は46年に共学になったものの、それは46年という数字が表すように戦後アメリカから言われてそうなった。（ここにもまた努力しないで何かを勝ち取った日本人の存在が…以下自粛）

ただそれ以前も、公開講座への参加や、非常にわずかなんだけど、大学院に入学が許可されたケースもあるのだそうだ。17歳で「女だてら」に文学部の夏季講座に参加した女性などは、こんな差別された存在にありながら「学びたい」「知りたい」そんな気持ちを持つなんて、涙がでるわ。

しかし東大は、共学化の時には、男女共学化を「画期的事件」と呼び、女子学生を「華やかな、ただしあまり美しくない」とか、当時のセンセたちは女の子たちに言っちゃってたわけですよ。（まるで麻生某のようではないか。麻生某をこういうおじさんたちは笑えるのか？）

そして東大は女子学生においては「最高級の花嫁学校」（あぁ？？）とし、将来は大使や公使として活躍する東大男子の妻としての「ホステスとしてのかたわらユネスコの嘱託となる、というのがごく自然なイメージ」とか「あるいは研究者と結婚して夫の研究を手伝う」とか「翻訳をしながら配偶者を助け」とか言っちゃってるわけですよ。

女は大使や外交官になっちゃいけないの？　研究者になっちゃいけないの？　秘書業務以外やっちゃいけないの？　っていうか、自分のキャリアを築いちゃいけないの？　男を手伝わなきゃいけないの？

あ、あと頭に来たのは、学生運動時代には女子学生は、もうひたすら炊事係としておにぎりを握っていたという話。文句があるなら、じゃあゲバ棒持つのか？…と来たもんだ。

それにしても！！！　それにしてもですよ！！　これを書いた現在東大にいる矢口さん、すごい。ある意味東大の黒歴史を、今、東大いながら、ここまで書いた。まとめた。そのすごい勇気に感動さえ覚える。

矢口さんみたいな先生のいる東大だったら、これからの未来は、間違いなくよくなっていく予感がする。ということはつまり、日本はもっとよくなっていくんじゃないか。そんな希望がある本だと私は思う。

ありがとう、矢口さん。この本を書いてくれて。私も自分の現場でがんばりまーす！

23人のお客様がこれが役に立ったと考えています

2024年3月10日に日本でレビュー済み

18人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

ScholarWriterMusician

東大の男女比をとおして日本の大学と社会の価値体系を問いただす

2024年3月11日に日本でレビュー済み

「よくぞ書いてくださいました！」と著者の勇気に、そして「よくぞ出してくださいました！」と出版社の判断に、拍手を送りたい。

本書ではまず、1946年にはじめて東大に女子学生が入学してから80年近く経っても今なお東大生の男女比が８：２であるという事実の特殊性、そしてその事実の一体なにがどう問題なのかを、たくさんのデータをもとに指摘・分析・批評する。そして、東大がどのような経過をたどって「男のための男の大学」としてあり続け、それが問われないままだったのかという歴史を叙述する。また、教員も学生もひいては銅像に至るまで男だらけで構成されるキャンパスの光景があまりにも「あたりまえ」になっていて、それが男だらけであることに大抵の人が気づきすらしなくなっていることを指摘する。これらの記述には、歴史の記憶や文化表象の批評分析を専門とする著者ならではの視点が活かされている。

そして、そんな「男の大学」にさまざまな立場で実際には存在した女性当事者たちの、決して単一ではない経験や声を、著者はさまざまな資料から丁寧に拾い上げる。この箇所は立派な現代史研究そして精緻なテキスト分析になっていて、とくに読み応えがある。さらに、共学化は東大よりずっと遅かったものの、そこからの年数は東大の半分で学生男女比ほぼ半々に到達した米国プリンストン大学の取り組みと、東大の辿ってきた道と現状を比較する。そして、本書の執筆中に東大副学長という立場で大学の運営を担うようになった著者が、今そしてこれからの東大があるべき姿、なすべきことについての提言を示す。

淡々とした筆致の奥から、著者の静かな憤りや悲嘆や絶望がひしひしと伝わってくるが、私にとってはそれが一番迫力をもって迫ってくるのが第3章だった。東大に入った女子学生たちがどんな思いで学生生活を送っていたのか。「女子大生」についての著名男性研究者たちの言説の酷さ。運動における自らの位置や距離を探りながら、さまざまな形で東大闘争にかかわった女性たちの声と思い。そして現代も東大の門をくぐる女性たちの多くを縛る実力主義神話。これらを論じた部分は、読んでいて涙がこみ上げるほどだった。

このように女性たちの声に真剣に耳を傾け、その背景にある経験や思いを想像し寄り添って、共にこれからの道を探ってくれる人物が、東大のリーダーシップに一人でもいてくれるようになったことは、まだまだ長く遅いであろう東大の変革、そして日本社会の将来に、小さくても確かな希望を与えてくれる。

本書は、東大の学生や教員の男女比という具体的な目の前の問題を扱ってはいるが、それをつうじて提起しているのは、東大が象徴する日本の大学や社会全体が当然のように受け入れてきた価値体系である。その価値観を根本から問いただすことがなければ、小手先の改革で東大そして社会が変わることはないだろうという著者の言葉には、大学での日常において積み重なってきた経験知がこもっている。それと同時にこの本には、社会における大学というもののミッションへの揺るぎない信念がある。

著者はいう。

「大学は本来、既知の事柄や考えを批判的に再考し、新たな思索を築いていくところである。それが逆に社会の体系的差別の構築と強化に加担しているのであれば、正さなければならない。より公正で平等な社会を築いていくためにも大学を構成する教員、職員、学生ひとりひとりが男女比の歪みに象徴される大学のジェンダー問題を考え、現状の構造の変革に結びつけていかなければならない。それは大学と社会がより多様な声に耳を傾け、すべての人びとの生活を豊かにするインクルーシブな知の体系を築いていくために不可欠な一歩である。男性中心の硬直した社会をあたりまえのものとするのではなく、さまざまな価値観・背景を持つ人びとが集い、交流するなかで新しい、より民主的な発想が生み出される、多面的で開放的なキャンパスと社会を模索する歩みが必要である。」（p.16-17)　

多くの大学でダイバーシティ＆インクルージョン宣言などが出されるようになってはいるものの、大学のあるべき姿についてこうした基本的な理念を前面に打ち出し、それを大学運営のあらゆる側面で実践しようとしているところは、どれだけあるだろうか。

東大の執行部、教員、学生はもちろんのこと、「東大が男だらけだろうがなんだろうがどうでもいいし、自分には関係ない」と思っている人たちにも、自分が東大という組織と直接のかかわりがなくても、東大の男女比がここまで偏っているという状況が、本当にどうでもいいことなのか、本当に自分には関係ないのかを、本書を読んでじっくり考えてもらいたい。

16人のお客様がこれが役に立ったと考えています

2024年7月7日に日本でレビュー済み

「なぜ東大は男だらけなのか」、論点を学生に絞ると「なぜ東大を受験し合格する者に男性が多いのか」という疑問について、本書は真正面から答えることを避けている。筆者は「現状の東大と日本社会のあり方は圧倒的に男性の価値観を規範とし、男性に有利な構造になっている。」と述べているが、具体例として紹介されるのはどれも明確な女性差別があった過去の話ばかりだ。現状の東大の受験システムの何が男性有利にはたらいているのかを説明することができていない。結局、なぜ東大は男だらけなのか？

筆者は「女性と男性のあいだに有意な能力差はないのは明らかである。それは学術的にも繰り返し論じられているし、教員としての経験的にもその通りだと思う。にもかかわらず、日本のトップ大学と目される東大や京大に女性が二割程度しかいない。この社会状況は明らかに間違っている。」と主張する。ここで「明らかに間違っている」とされている男女比について、ではどうして「間違った」状況になっているのか、より踏み込んだ検討が必要だ。

女性よりも男性の方が優秀だという事実は存在しないが、少なくとも「全国模試の成績優秀者を見れば男性の方が多い」ということは動かすことのできない統計的事実であり、それが東大の男女比率に直結していることは容易に想像できる。成績最上位層という上澄みをそのまま掬い上げれば、自然と現在の東大、京大の姿になるのだ。この現状を考察、打開しない限り、最上位の大学で男女比半々を目指すクォータ制や女子枠は必ず女性優遇、男性差別になってしまう。

筆者はクォータ制の検討を始めるべきだと主張する。しかし、生まれる前から決まっていた性別によって自動的に優遇され「下駄を履かされている」と見られることになってしまう女性受験者たちは、どんな気分になるだろうか？　男性受験者に「これまで女性差別があったのだから今の男性差別を受け入れろ」と言い放ったとき、頑張ってきた彼らは女性受験者や執行部に対してどのような気持ちを抱くだろうか？

「男女比は半々であるべきだから制度を変えてそのようにしよう」と動く前に、「なぜ半々になっていないのか」を追究し、おそらくその奥に存在するであろう「女だから」「男だから」という差別や偏見を徹底的に排し、自然と成績最上位層の男女比が半々になる社会を目指す努力が、今は必要とされているのではないか。

5人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

Play baseball

誰もが知っていながら気が付かないふりをしている事を書いた本

2024年3月6日に日本でレビュー済み

男性も女性も老いも若いも読んでもらいたい。

5人のお客様がこれが役に立ったと考えています

2024年2月16日に日本でレビュー済み

女性学生本人の意見等の情報について、女性差別的でない事例についても女性差別であるように理屈をつけ結論付ける姿勢が散見され、全体に渡って知的に極めて不誠実。

第五章のクォータ制について、
"しかし女性と男性のあいだに有意な能力差はないのは明らかである。それは学術的にも繰り返し論じられているし、教員としての経験的にもその通りだと思う。"
とだけ書き、根拠となる論文を引用していないのは不十分。

そのうえで、
"女性学生の数が全体の半数になって東大が困ることはひとつもない。東大のレベルが下がるという主張もあるが、それはその枠で入ってくる女性はレベルが低いという根拠のない前提である。"
と書くが、点数主義で男女共に同じ基準で入学している現状で偏っている男女比を半々に固定したら、本来合格点より高い男性が落ち、合格点より低い女性が受かるので、東大のレベルが下がるのは当然で無根拠ではない。

点数主義については、男性や裕福な家庭等有利な受験者がいることを指摘しているが、そもそも教育を受けるための学力の調査が入試であるから、いかなるバックグラウンドがあろうと試験の点数を基準とするべき。環境が恵まれていることを理由に、男性受験者の合否において、その点数を不当に低く扱う差別を容認すべきでない。

27人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

アキレスの踵

著者に聞きたい。性別を考慮せず、本人の資質のみで合否を決めるのが「真の平等」ではないのか？

2024年8月1日に日本でレビュー済み

東大をはじめ人文系学者にジェンダー思想が蔓延しているのは知っていたが、ここまで来ているとは思わなかった。著者は言う。「男性優位社会にいる男性は最初から下駄をはかせてもらいながら、無自覚のままだ。そんな男性自身が男性優位社会の偏見の一部になっていることを自覚すべきだ。」これにはすっかり驚いてしまった。これはジェンダー思想の主張そのままではないか。私の反論は、「どんな思想に心酔しようと自由だが、国民が支持していないイデオロギーを、大学やメディアのような公器を使って、勝手に宣伝・普及させることを誰がいつ許可したのか」ということ。

ではこのイデオロギーはどこから来て、なぜ生まれたのかご存じだろうか。ジェンダー思想の直接の出所はフランクフルト学派だが、さらにルーツを遡ると、フランスの思想家ルソーに行き着く。「理性を使えば、理想社会を設計することができる。過去の歴史を全否定して、その上に理性が決めたとおり、人間でも社会でも好きなように作り変えていくことができる。そして理想社会に到達できる。」理性万能主義と呼ばれる思想で、これがフランス革命の理論的根拠になった。著者の主張は、このルソーの思想に沿っていることがわかる。これを批判した古典が、イギリスの思想家バークの著書「フランス革命についての省察」である。

ルソーの思想を受け継いで応用したのがフーコーだ。フーコーが説く「すべてを疑って脱構築しなさい」という教えは、ルソーが言ったことの焼き直しにすぎない。脱構築とは、今では当然と思われている概念は近代社会の産物にすぎないのだから、解体して理想のシステムを再構築せよという思想運動だ。これがフェミニズムと結びつくと、「男性・女性」という概念そのものを解体して再構築するという狂気の思想に変貌する。東大のスター学者上野千鶴子はこの立場だ。一言だけ反論するのなら、自らの思想やジェンダー思想だけは決して、「疑って脱構築」しようとしない。情けないのは、著者のような男性学者が腰砕けになって、あっさり上野千鶴子に降伏してその軍門に下っていることだ。

男女の性差を否定するジェンダー主義者は、諸悪の根源は父系社会にあるとして、歴史を遡ってその起源を明らかにして批判しようとする。しかし人類以前のチンパンジーやライオン、カモシカの社会では、群れの中にはボスがいてメンバーを支配している。しかもそのボスとは決まって「オス」だ。このオスが群れのメスを独占支配している。それは「差別思想の始まり」だとでもいうのだろうか？それは進化の過程で、動物の本能に従って自然にそうなっただけだ。人類がまだ洞窟で暮らしていた頃、父系社会が人類の主流になったのも、同じ理由からではないのか？人類を含めた生物進化の過程を、「それは誤りだ」と批判する資格など人間にはない。どこまで傲慢で思い上がっているのだろうか。

男女平等とは「法の前の平等」を意味し、「男女は同一である」という意味まで含んでいない。それを勝手に拡大解釈して性差を消滅させようという運動が、ジェンダー思想の本質である。言うまでもないことだが、「女性への不当な差別に反対する」ことと、「性差の消滅を目指す」ことは全くの別次元の別問題だ。ジェンダー思想とは、この両者を意図的に混同して、後者を戦略的に推し進めようとする思想運動である。ニューヨークでは、男女兼用のオールジェンダー・トイレが広がり始めているという。著者に聞きたいのは、東大でもいずれオールジェンダー・トイレを導入するつもりなのか？

人間の脳には、男女で同質の部分と異質の部分が混在している。どちらに重点を置くかで、論者の主張は変わってくる。これまでは異質の部分にばかり焦点が当てられてきた。しかし現代ではその反動が来て、今度は同質の部分にばかり重点を置くジェンダー主義者が登場し、性差を否定するところまで突っ走ろうとしている。それもまたひとつの極論であり、誤っているのではないかということだ。真理は中道にある。

著者に質問したい。「『男性・女性』とは社会的・文化的に作り上げられたもので、個人の選択で変えていくことができる」というジェンダー思想の教えを支持しているようだが、それでは男女の固定的な意味はなくなる。なぜ男女の定数を平等に揃えよというのか、論理破綻しているのではないかということだ。いちばん大切なことは、特定の思想に心酔するよりも、人間としての常識に立ち返ること。男の子と女の子を育てた親なら自然にわかるだろう。その答えとは、性差の消滅を目指すことではなく、男女間の同質性と異質性のバランスを取ることである。参考文献：ダグラス・マレー「大衆の狂気」、掛谷英紀「学者の暴走」、やまたつ「北米からの警告」、茂木誠・朝香豊「リベラルの正体」

付記　　進化生物学者の長谷川眞理子氏が、「文芸春秋」2024年3月号で「性は選ぶものではない」という論説を書いています。また「太古の昔から受け継がれてきた、生物としての機能・役割を無視した生き方や制度は長続きせず、いずれ破綻する」ということを教えてくれる次の本のご一読をお薦めします。ジョーダン・ピーターソン「生き抜くための12のルール」

2人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

pacificocean

東大と女子大学

2024年3月25日に日本でレビュー済み

なぜ東大は男だらけなのかーその問いに敢えて一言で答えるならば、「それが構造的な問題だから」ということになるだろうか。「学生、教員どちらにも見られるいびつな男女比は単に女性と男性の数が不釣り合いという数値の問題ではなく、大学の研究と教育、構造そのものと関わる」ことだからこそ、「男性が作り上げる組織とその価値観」をアップデートしなくてはならないのである。

筆者は東大の男性中心的な構造がどのようにして生じたのかをさまざまな資料をもとに客観的な視点から分析していくが、その中で個人的に興味深かったのは、東大とは対極的な教育機関として女子大学が位置づけられてきたことである。東大（あるいは有名私大）に入学する女子学生の能力に懸念を示す男性教員たちは、女子大学を「花嫁学校」として位置づけ、女性の学生にはそうした教育機関こそが似合わしいと主張してきた。それは1960年前後の有名な「女子大生亡国論」のみならず、1980年代後半の東大総長もが共有していた価値観である。要するに、「女子学生の学び」が真剣にとらえられてこなかったからこそ、東大はいつまで経っても男だらけなのであり、「花嫁学校」と（今になってもなお）位置づけられる女子大学は不人気なのではないか・・・と、本書を読みながら私は考えた。東大のサークルが自学の女子学生は受け入れず、女子大学の学生は受け入れるというのも、同じ文脈にあることなのだろう。

本書のなかでもう一つ興味深かったのは、プリンストン大学の共学化について分析した第四章である。なぜプリンストンにはできたのに、東大にはできないのか・・・を知るためには、ぜひ本書をお読みいただきたいが、アメリカを「ジェンダー先進国」として理想化せず、批判的な視点も取り入れつつ分析するバランス感覚は、見事である。

最後に強調しておきたいのは、現役の東大男性教員がこのような本を書いたことの意義である。マジョリティ側に属する男性教員がこの問題について発信するというのは（画期的とは言わないまでも）極めて重要な意味を持つはずである。著者がこの本の中で拾い上げ、拡声した女性の声が、一人でも多くの読者に届くことを願いたい。

6人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

カスタマーサービスが必要ですか？

‹ なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)の商品詳細を表示

Amazon Advertising 商品の露出でお客様の関心と反応を引き出す	Audible（オーディブル）「聴く」読書会員なら聴き放題	アマゾンウェブサービス（AWS）クラウドコンピューティングサービス	Amazonアウトレット訳あり商品をお手頃価格で販売

Amazonビジネス（法人購買）請求書払い法人価格・数量割引	AmazonGlobal 65か国/地域以上への海外配送がより簡単に	Shopbop 世界中の厳選されたファッションアイテム

なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)

›

カスタマーレビュー

カスタマーレビュー

なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)

上位の肯定的レビュー

上位の批判的レビュー

レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

日本から

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書) › カスタマーレビュー

カスタマーレビュー

なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)

上位の肯定的レビュー

上位の批判的レビュー

レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

日本から

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

コメントの読み込み中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。

なぜ東大は男だらけなのか (集英社新書)

›

カスタマーレビュー