Amazon.co.jp：カスタマーレビュー: コロナ禍と出会い直す　不要不急の人類学ノート

しろうさぎ

コロナ禍を振り返る

2024年7月14日に日本でレビュー済み

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数年前のあの頃を思い出しながら読みました。
日本人の特性にも迫る傑作ですね。特に戦時中との対比が興味深かった。
“和をもって極端となす”日本人、太平洋戦争中から変わっていない部分が多いなと痛感しました。

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トナカイ太郎

コロナ禍の対策に対する憤りを言語化された。

2024年7月8日に日本でレビュー済み

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コロナ関連の本をここ数年何冊も読んだが、その中でもこの本は一番納得させられた。著者の労作に敬意を表します。

私の憤りはこうだ。
コロナ禍時代のあの対策は社会全体の中でメリットよりもデメリットのほうがはるかに大きかった。なぜそれを未だに認め反省しないのか？というものだ。

著者は述べる。
「私をフィールドワークに向かわせたのは、コロナに罹らないことが命を大切にすることであるという、生をあまりに平坦化したもののみかたと、それがあっさりと現実化する世の流れへの恐怖、名誉心を装う虚栄心への怒り、同じ社会を未来に残したくないという願いであった。」
まさにその通りだと思う。
私たちの住む世界はとても多様で、生に対する価値観も同じく多様だ。しかしコロナ禍における専門家と呼ばれた人たちはそれを理解せず、単なる病院の責任回避やコロナに罹りさえしなければよい、という価値観のもとに対策を人々に何年も押し付けた。

コロナ対策を通じて早々に明白となったのはコロナウイルスを人工的にコントロールすることは不可能である、という事実だ。であれば政府は、不安を煽るのではなく、もっと安心を与えるような政策を積み重ねるべきではなかったかと思う。第何波がきます、基本的な感染対策の徹底とワクチンの検討を、いつもこのようにしか言わない専門家たちの言こそが医療崩壊の原因だったと当時も今も私は確信している。

私は理系の学者や分科会の学者があそこまで愚かだったことに愕然とする。それは専門家だから専門的見地からのみ意見をしているなどというような高度なレベルの話ではない。彼らには基本的な教養が欠けていた。社会は彼らが考えている以上に複雑で、対策の影響は予想不可能かつ真っ先に弱いものを殺すかもしれない。専門家自身にそういう自己の認識の限界を見定める視点がないから、結局「生を平坦化」してしまっていることに気が付かないのだ。

本書を読み今回のコロナ禍をよく反省して、私権の制限を当然とするような風潮を未来の社会に残してはならないと強く感じた。そのためにはコロナ禍に対する多角的な検証が必要で、本書は斬新な視点を持ちながらも的確にその役割を遂行していると感じた。

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同じ過ちを繰り返さないための省察に必読の一書

2024年7月15日に日本でレビュー済み

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2020年から22年にかけて日本社会を支配した異常な空気はつい昨日のことだが遠い過去の出来事のように人々の意識から遠ざけれられている。それは戦後の日本が曲がりなりにも築いて守ってきた自由というものを一夜にして放擲して怪しまぬような空気の変化であり、私は経験がないが、戦争に至った時期もこのように人々は周りに強いられながらもむしろ積極的に空気に同調していったことが生々しく想起されるような異様な体験であった。この時期の日本人と日本社会を客観的総合的に省察した著作は、知る限りいまだに現れていないのではないか。
　そんなことを考えていたとき、新聞の書評で本書を知り早速購読したものだが、「コロナに罹らないことが命を大切にすることであるという、生をあまりに平坦化したものの見方と、それがあっさりと現実化する世の流れへの恐怖」というこの著書の一節に私が感じていたものが集約されていると思う。「愛する人のために」「コロナにならない・うつさない」ことに「私たちの日々の生活の目的が集約され」て、そのあまりに一面的な価値基準による要請が必要性を吟味されることもない行動規制となって私たちの生活を脅かしていった経路が描かれている。著者はそのような行動変容の根本にあったものは、「頭」ではなく「身体」に」染みついた日本人の「ハビトゥス」であるという。そういえば、ふだん理性的な言動が印象的な周りの人たちが、あっさりと空気に同化していくありさまを見てきた私には、理性では抗えない力が働いていたのかもしれないと感じられる。これを覆すことができるものは「ハビトゥス」の転換だとすると、これからも同じことが繰り返されるしかない宿命を受け入れなければならないのだろうか。しかし、著者は決してそのような結論を導こうとしているのでないことは全編を通した本書のテーマになっている。

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のぶちゃん

コロナ禍が次第にコロナ対策禍になっていった。あの時は仕方なかったですませないために。

2024年6月12日に日本でレビュー済み

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近年これほど我が意を得たりと感じた著作はありませんでした。
プロローグでまずコロナ対策が多くの弱者の命を奪った現実が述べられています。
「コロナ禍で連呼された大切な命というフレーズ。しかしこのフレーズの下に積み重ねられた多様で大量の感染対策が、元から脆弱であった人々の命を砕いた。」
そしてエピローグでは二度と繰り返させないための決意が表明されています。
「私をフィールドワークに向かわせたのは、コロナに罹らないことが命を大切にすることであるという、生をあまりに平坦化したもののみかたと、それがあっさりと現実化する世の流れへの恐怖、名誉心を装う虚栄心への怒り、同じ社会を未来に残したくないという願いであった。」
「気の緩み」に代表される非科学的な精神論、旧日本軍との共通点など日本のコロナ対策の問題点が次々と明らかにされます。「素人は黙ってろ」と上から目線の高圧的態度で迫った自称プロたちの醜悪さもよくわかります。是非隅々までお読みください。

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コロナ社会を振り返るためにきわめて重要な本

2024年6月5日に日本でレビュー済み

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この4年間を振り返るための、ますます大きくなる医療の影響力と向き合うためのヒントが詰まっています。

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2024年6月4日に日本でレビュー済み

どんどん過ぎていく毎日の中で、忘れていってしまう当時の記憶や、自分の感じていた不安や違和感を、思い出させてくれる本。学者さんの著者ではありますが、解説もわかりやすく、とても読みやすいです。私も、わすれてはならない出来事と、再度「出会い直し」をさせて頂きました。また、当時を思いだすだけでなく、そこからの一歩も考えさせられました。

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ホープ

文化人類学の理論の有効性を再認識：正気を取り戻すために

2024年7月26日に日本でレビュー済み

文化人類学の基礎理論が現代日本の現象の解明に有効に活用されている。今、日本に必要とされるのは、磯野さんのようなバランスの取れた知性だと思われる。平凡なことを当たり前に言うのには、しっかりした学問的基礎とちょっとした勇気が必要とされる。コロナの煽りにとまどった自身の経験を未来の糧にしていく方向へと励ましを受けた。

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古川隅田川多摩川

「身体性」という観点から考察された価値ある日本論

2024年7月6日に日本でレビュー済み

著者は人類学の観点から、かつて狂牛病と言われたBSE問題、年単位で接種率が低迷した日本脳炎やHPVワクチン問題、そしてコロナ禍には一つの共通点があると分析する。それはパニックを鎮静させるためにとられた極端な現象が、長期にわたりダラダラと続くこと。特にコロナ禍ではそれが顕著で、諸外国にくらべて感染者、死亡者が少なかったにもかかわらずマスクやアクリル板、さらには火葬場などでの看取りの制限などが長期間継続された。著者はその原因を、感染対策が「頭」で行われたのではなく「身体」で行われたためだと読み解いている。「身体性」という観点から考察された価値ある日本論になっているといえよう。
また、過剰な行動規制の実態について、具体名が明かされていない離島で行われた聞き取り調査も大変興味深い内容である。

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きなこ

検証は必要（もしまたパンデミックが起きたら）

2024年6月9日に日本でレビュー済み

新型コロナが5類に移行して一年になるとの報道を目にして、誰しも心の中で感じたのではないでしょうか。
「あれでよかったのか」と。

緊急事態宣言下、新型コロナウィルスだけでなく、たくさんのことに怯えながら過ごしていたことを既に忘れつつあります。
いまさら「あの対応は間違いだったじゃないか！」などと腹を立て、間違い探しをするのではなく、“あのとき”を経たからこそ、また確実にやってくるであろう未知のウィルスに備えて我々はどうすべきかを考える意味はとてつもなく重要だと感じました。
まさに「コロナ禍と出会い直す」、最適な良書です。ありがとうございました。

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すみれ

著者に叱られる

2024年6月8日に日本でレビュー済み

連載時から気になり本書を手に取ったが、終始、著者に叱られているような気がしてならなかった。
奇妙な違和感を感じながらも仕方あるまいと世間の言うなりに過ごし、
咳をした瞬間、全身に冷たい視線を浴びたあのおぞましさを既に忘れている我が身のことを。
あの光景を忘れてはならぬ。未来への教訓として、私たち一人ひとりがコロナ禍と出会い直さなければならない。
異なる視座からあらゆる問いを投げかけられ、自問自答を繰り返させる良書。
私は世界をより良い方向へ導くための書として読んだ。

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