ニュース速報
ワールド

中国の産業支援策巡る「透明性欠如」、過剰生産の要因に=WTO

2024年07月18日(木)00時33分

世界貿易機関(WTO)は17日、「全体的な透明性の欠如」のため、中国政府による電気自動車(EV)やアルミニウム・鉄鋼生産など主要産業分野への支援策について明確な情報を得ることができなかったと発表した。2022年10月撮影(2024年 ロイター/Denis Balibouse)

Emma Farge

[ジュネーブ 17日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は17日、「全体的な透明性の欠如」のため、中国政府による電気自動車(EV)やアルミニウム・鉄鋼生産など主要産業分野への支援策について明確な情報を得ることができなかったと発表した。

報告書で、中国は2021─24年の審査期間中に産業界に財政的支援やその他のインセンティブを実施したと指摘。ただ中国政府はWTOが支援策を明確に把握するための十分な情報を提供しなかったとした。

「中国政府の支援に関する全体的な透明性の欠如」は、半導体や造船を含めた様々な分野の過剰生産問題につながっている可能性があると言及。特に、主要産業への株式投資に公的資金を使用しているとされる中国政府系ファンドの規模を把握できないとした。

173ページに及ぶ今回の報告書は中国に対する貿易政策審査の一環として発表された。これはWTOに加盟する全166カ国に対し数年ごとに実施される審査で、中国に対する前回の審査は21年だった。

米国、オーストラリア、英国、欧州連合(EU)を含む西側諸国はこの機会に中国の産業政策を批判。米国のデビッド・ビスビー在ジュネーブ代理公使は他国に損害を与える「略奪的な」産業慣行を行っているとして中国政府を非難し、「この支配という目標を支援するために中国国家の全力が投入されている」とした。

一方、中国政府は審査の一環としてWTOに提出した文書で、WTOの規則と01年に加盟した際に合意したコミットメントの双方を順守していると主張。産業への補助金や開発促進に関する協議には前向きだが、そのような協議は「国家介入または産業政策に関する一般論やマクロ的な議論を避けるために明確に定義されるべき」とした。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

王外相、米補佐官と近い将来の首脳会談を協議 中国が

ビジネス

米30年住宅ローン金利、先週は16カ月ぶり低水準=

ワールド

シリコンバレーのハリス氏支持者、中絶の権利や親テッ

ワールド

ロシア、ゼレンスキー氏の停戦構想一蹴 特別軍事作戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本と世界の不動産大変動
特集:日本と世界の不動産大変動
2024年9月 3日号(8/27発売)

もはや普通の所得では家が買えない──日本でも世界でも不動産が激変の時を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじい攻撃」で燃え続けるロシアの弾薬庫を捉えた映像が話題に
  • 2
    ロシア本土を直接攻撃する国産新兵器をウクライナが実戦投入
  • 3
    HSBCが熱い視線を注ぐ「準富裕層」とは
  • 4
    越境攻撃で東部ドネツクの前線に穴?ロシア軍が要衝…
  • 5
    誰も指摘できない? 兵士の訓練を視察したプーチンの…
  • 6
    プーチンに背を向けウクライナに味方したモディの計算
  • 7
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 8
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
  • 9
    1リットルで250万円、カブトガニの「青い血液」求め…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 1
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘密の部屋」を公開...あまりの狭さに「私には絶対無理」との声も
  • 2
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじい攻撃」で燃え続けるロシアの弾薬庫を捉えた映像が話題に
  • 3
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...クラスター弾が「補給路」を完全破壊する映像
  • 4
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 5
    ドードー絶滅から300年後、真実に迫る...誤解に終止…
  • 6
    ロシア本土を直接攻撃する国産新兵器をウクライナが…
  • 7
    「砂糖の代用品」が心臓発作と脳卒中のリスクを高め…
  • 8
    「海外でステージを見られたらうれしい」――YOSHIKIが…
  • 9
    黒澤映画の傑作『七人の侍』公開70周年の今、全米で…
  • 10
    誰も指摘できない? 兵士の訓練を視察したプーチンの…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 5
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 6
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    バフェットは暴落前に大量の株を売り、市場を恐怖に…
  • 9
    古代ギリシャ神話の「半人半獣」が水道工事中に発見…
  • 10
    【画像】【動画】シドニー・スウィーニー、夏の過激…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中