- HOME
- コラム
- 欧州インサイドReport
- 反移民感情と民主主義のバランスが崩壊したフランスの…
反移民感情と民主主義のバランスが崩壊したフランスの教訓...人口移動は今後「さらに加速する」
「西側指導者は道徳的な指針を失い、難民の権利、人道主義に関する自らの長年の道徳的立場を損なっている。その結果、便宜的なご都合主義に走り、手っ取り早い解決策を追い求めるようになった。難民が不都合だからと言って出身国に送り返すのはおかしなことだ」
アル=グウェル氏によると、モノであれ、サービスであれ、お金であれ、労働力であれ、資源は世界中を自由に移動する。それが人類の歴史だ。「私たちはお金が自由に動くことを望んでいるが、労働力が自由に移動することは望んでいない」。しかし自然の摂理は止められない。
難民問題を武器化するロシアのプーチン大統領
「米国やフランスが難民をアフリカに送り返し始めれば始めるほど、自らの不道徳さや、アフリカに対して人種差別的な政策をとっていることを露呈することになる。人口移動は気候変動によって世界的に悪化する」(アル=グウェル上級研究員)
気候変動によって世界のいくつかの地域が住めなくなり、人々は移動せざるを得なくなる。水の安全保障、食糧の安全保障の問題も今後20年でますます増えていくだろう。ウラジーミル・プーチン露大統領は西側諸国を不安定化させるため、すでに難民・移民問題を武器化している。
「世界は非常に深刻な形でそれに対処しなければならない。米国、欧州、日本、世界中の国々がアフリカに投資してチャンスを与え、国を安定させるために政治的にも投資しなければならない。アフリカが不安定で経済的に困窮している限り難民は増え続ける」
果たしてアル=グウェル氏の警鐘は欧州や米国の有権者に届くのか。
2024年9月3日号(8月27日発売)は「日本と世界の不動産大変動」特集。高騰する日本の不動産市場の未来は?/海外不動産投資のメリット・デメリット/世界各国の不動産「最新事情」
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
「カブール陥落」から3年...英国最後の駐アフガン大使はその時、何を考えたか 2024.08.29
ゼレンスキーの「大博打」は成功するか クルスク侵攻作戦の行方 2024.08.24
竜巻に巻き込まれ、地中海で豪華ヨットが沈没...「英国のビル・ゲイツ」も行方不明 2024.08.20
英国の大学も「大倒産」時代を迎える...「留学生頼み」のハイリスク経営の落とし穴 2024.08.15
性分化疾患を抱える女子ボクサーは「女性」だ...パリ五輪の性別騒動 2024.08.03