レッドリップはややオーバーに描いて
再び新しい一年が幕を開けた。ファッション同様メイクアップも刷新したいところだが、まずどのパーツからアップデートするのがいいだろうか。メイクアップ・アーティストの吉田佳奈子さんは、「2024年春夏コレクション全体を通して、最初に目についたのはリップフォーカスなルック」だと話す。「今シーズン印象的だったのが、春夏なのにフォーマルなリップの塗り方をしているところが多かったこと。トッズなど、服自体もどこかかっちりしたシェイプが戻ってきている気配を感じていますが、赤リップを例にとると、しっかりオーバーに描くのがこれまでとは違う流れだと思います」
豊富に揃ったニュアンスカラー
リップといえばトレンドカラーも気になるところだが、「個人的には鮮やかな赤はもちろん、バーバリーやディオールの黒のようなダークカラーも気になります。メタリックなギミック系も際立っていたし、逆にアクネのようにものすごくレスされたペールピンクもあり、トレンドカラーはさまざまかもしれません」と、語る。
より個性を尊重する時代とあって、爆発的な流行色の傾向は見えにくい。だが、この多種多様なカラーバリエーションこそ現代の流れなのだ。では実際に好みのリップを選び取った後、どう塗れば今どきの“フォーマル・リップ”が完成するのだろうか。
「リップライナーを組み合わせるのがおすすめです。ただ、いきなり輪郭を描くのは私たちプロでもハードルが高いもの。必ずベースに使わないといけないというルールはないので、まず先に好きなリップを塗った後に、同系色のもので上唇の山から口角のラインに丸みをもたせたり、輪郭の薄い部分をぬり絵感覚で整えてみるのがおすすめ。内側まで塗り重ねることで定着度も高まります。また、メタリックな質感を楽しみたい場合は、ラメのアイシャドウなどを唇に仕込んだ上に、グリッタータイプのグロスを重ねると欲しいエッジが再現できます」
話を聞いたのは……
KANAKO YOSHIDA
メイクアップ・アーティスト。2008年渡英、渡仏を経て2012年に帰国。日本で活動し、再び2017年にパリへ。当時シャネルのメイクアップディレクターを務めたルチア・ピカのファーストアシスタントを務め、現在はパリでフリーランスとして活躍する。
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Text: Kazuko Moriyama Photos(image): AYAKAENDO Styling: NAZUNA Editor: Toru Mitani
※『VOGUE JAPAN』2024年2月号「春が醸す、ネオ・センシュアリティ」転載記事。