BEAUTY / TRENDS

傾向をプロが解説。2024年のリップは“レッド”と“ニュアンスカラー”

トレンドに加え、時代のムードまでも映し出すリップメイク。ダイバーシティが前提の今、この春の唇をどうアレンジすべきか、メイクアップ・アーティストの吉田佳奈子さんに傾向を聞いた。

レッドリップはややオーバーに描いて

光を吸い込むベルベットであるかのような仕上がりは、 セダクションなオーラを醸す。リップカラーマット 16C ¥7,920(限定発売中)/トムフォードビューティ

再び新しい一年が幕を開けた。ファッション同様メイクアップも刷新したいところだが、まずどのパーツからアップデートするのがいいだろうか。メイクアップ・アーティストの吉田佳奈子さんは、「2024年春夏コレクション全体を通して、最初に目についたのはリップフォーカスなルック」だと話す。「今シーズン印象的だったのが、春夏なのにフォーマルなリップの塗り方をしているところが多かったこと。トッズなど、服自体もどこかかっちりしたシェイプが戻ってきている気配を感じていますが、赤リップを例にとると、しっかりオーバーに描くのがこれまでとは違う流れだと思います

2024年春夏トッズ(TOD’S)コレクションより。Photo: IMAXtree / AFLO

豊富に揃ったニュアンスカラー

〈左から順に〉ソフトマットに色づくクラシカルな赤。ロッソ ヴァレンティノ マット コーラルファンタジーエディション 219A ¥6,820(限定発売中)/ヴァレンティノ ビューティ 赤みを内包した黄みのブラウン。美粘膜を形成し、湧き上がるようなツヤを放つ。ルージュスターヴァイブラント V10 ¥4,620/カネボウインターナショナルDiv. 微細パールを含んだパープルは、唇を旬なすみれ色に。頬や目もとにマルチに使用可。グラムトーンカラーカスタード 06 ¥3,300/THREE

リップといえばトレンドカラーも気になるところだが、「個人的には鮮やかな赤はもちろん、バーバリーディオールの黒のようなダークカラーも気になります。メタリックなギミック系も際立っていたし、逆にアクネのようにものすごくレスされたペールピンクもあり、トレンドカラーはさまざまかもしれません」と、語る。

〈上〉赤みを含む ロージーでシアーなピンク。ローズ・パーフェクト 204 ¥4,840(限定発売中)/パルファムジバンシイ〈中央〉ひと塗りでモードなピンクの唇に。 ルージュピュールクチュール P22 ¥6,050/イヴ・サンローラン・ボーテ〈右下〉均一なつけ心地。 ほどよいくすみを蓄えたラベンダー。リップセラムティント 008 ¥3,520(2月2日発売)/アディクションビューティ

より個性を尊重する時代とあって、爆発的な流行色の傾向は見えにくい。だが、この多種多様なカラーバリエーションこそ現代の流れなのだ。では実際に好みのリップを選び取った後、どう塗れば今どきの“フォーマル・リップ”が完成するのだろうか。

〈左から順に〉軽やかなクリームからマットに変化し、長時間密着。鮮やかなチアフルレッド。パワーマット ハイインテンシティ リップペンシル 183 ¥4,180/ナーズ ジャパン ビニールのようにきらめく厚膜を形成。30th ボリュームリップ メイカー 02 ¥1,540(編集部調べ。限定発売中)/VISEE(コーセー) 大粒かつ輝度の高いグリッターを含むアイシャドウをリップのアクセントに。アイカラー 52 ¥2,310/エレガンス コスメティックス

リップライナーを組み合わせるのがおすすめです。ただ、いきなり輪郭を描くのは私たちプロでもハードルが高いもの。必ずベースに使わないといけないというルールはないので、まず先に好きなリップを塗った後に、同系色のもので上唇の山から口角のラインに丸みをもたせたり、輪郭の薄い部分をぬり絵感覚で整えてみるのがおすすめ。内側まで塗り重ねることで定着度も高まります。また、メタリックな質感を楽しみたい場合は、ラメのアイシャドウなどを唇に仕込んだ上に、グリッタータイプのグロスを重ねると欲しいエッジが再現できます

話を聞いたのは……
KANAKO YOSHIDA
メイクアップ・アーティスト。2008年渡英、渡仏を経て2012年に帰国。日本で活動し、再び2017年にパリへ。当時シャネルのメイクアップディレクターを務めたルチア・ピカのファーストアシスタントを務め、現在はパリでフリーランスとして活躍する。

問い合わせ先/アディクション ビューティ 0120-586-683
ヴ・サンローラン・ボーテ 03-6911-8563
ヴァレンティノ ビューティ 0120-323-220
エレガンス コスメティックス 0120-766-995
カネボウインターナショナルDiv. 0120-518-520
THREE 0120-898-003
コーセー 0120-526-311
トム フォード ビューティ 03-5251-3541
ナーズ ジャパン 0120-356-686
パルファムジバンシイ

Text: Kazuko Moriyama Photos(image): AYAKAENDO Styling: NAZUNA  Editor: Toru Mitani

※『VOGUE JAPAN』2024年2月号「春が醸す、ネオ・センシュアリティ」転載記事。