BEAUTY / EXPERT

心も体もメンテナンスが大切。自分ファーストで叶える夜美容

一日の終わりには、フィジカルとメンタルの両面から自身をいたわることが重要。バスタイムやベッドに入る前のボディケアの時間を、マインドフルネスなものに!

マルチタスクな現代人は常に気が散りがちで、一つのことに集中したり自分の感覚を研ぎ澄ましたりする場面が少ない。そういう意味でも、夜のスキンケアボディケアにフォーカスすることで意識を自分に向けることは大切だ。「注意したいのは、お手入れのステップを増やすことが自己愛を高めるわけではない、ということです。もちろんゆとりがあるときはフルコースのリチュアルを試すのもいいと思いますが、そうしなきゃいけないと自分を縛ってしまう必要はありません。手間を省くことは決して手抜きではなく、ショートカットして自分がすっきり気持ちよければ、それも一つのセルフラブと捉えるべき。今はPCやスマホと向き合う時間が長く、交感神経がオンの状態が続いている人が多いので、肌やボディをクールダウンする心地よさで、フル回転する脳を休ませてあげることもいいでしょう」。

PM9:40 一日の終わりは、自分を甘やかす贅沢タイム

〈コスメ上から〉バスタイムが一気に華やぐローズの香りに包まれながらシルクのような肌触りに。ミス ディオール シャワー ジェル 175ml ¥7,700/パルファン・クリスチャン・ディオール 美肌菌に着目したマスクでお疲れフェイスを素早く回復。ジェニフィック アドバンスト バイオセルロース マスク 1枚入り ¥1,870/ランコム 長時間のパソコン作業でこわばった目もとをローラーで集中リリース。リファエスカラットレイ ¥21,450/REFA(MTG) カフ ¥245,300/CHARLOTTE CHESNAIS(エドストローム オフィス)

特に気温と湿度の高いこれからのシーズンは疲れが抜けにくく、心身ともに疲弊しがち。数ある冷感アイテム(1)(2)や清涼感ある香りで心身の疲労を洗い流し、翌日に持ち込まないよう心がけたい。「ここ最近のスキンケア、ボディケアの傾向として、リラックスを謳っているアイテムの香りが以前と変わってきていると感じています。昔は心を休める香りといえばラベンダーが主流でしたが、近頃はハーバル系やシトラス系のブレンドが増えた気が。ただリラックスするだけでなく、クールダウンさせたり、ちょっとだけアップリフトしたり。そういうことが現代のリラックスには必要なんだと思います」。丁寧なスキンケアができていないから十分じゃない、と落ち込む必要はない。走り続ける自分にちょっとした小休止を与えてあげる。そのきっかけとして美容を位置づけておけば、心も肌ももっと軽やかでいられる。

アクティブな状態の交感神経をクールダウン

〈左から順に〉バームタイプの2 in1シャンプー。メントールと植物精油の香りに包まれ、髪も頭皮も爽快。リフレッシング シャンプーバーム150g ¥3,850/アスレティア 弾力ある泡でデリケートゾーンをケアし、明るい肌へ。心地良い清涼感とともにミントが香る。インティメイト フォーミングウォッシュ フレッシュミント 150ml ¥2,750(限定発売中)/ワフィト

就寝前の時間には一度自身の体に触れ、後回しにしてしまっていた自分の気持ちに向き合うことも重要だ。バスタイム後にオイル(1)で肌を満たす、明日の自分のためにサプリメント(2)を飲む、簡単なストレッチで疲れをリリースする。体のメンテナンスのための時間に心の内側にもアクセスすることで、知らぬうちに溜まってしまう負のキャッシュを減らすこともできる。「自分の思考や感情を書き出していくジャーナリングという言葉も最近注目を浴びていますが、そういった習慣を夜のボディケアのルーティンの中に組み込むのもおすすめ。私が活用しているのは、Awarefyというアプリ。その日のコンディションや感情を記録するとAIによるメンタルパートナーが応えてくれるというもので、このAIがとにかく聞き上手。人の話はこう聞いて、こういう道筋で導けばいいのか……と学びになるほどです」。記録したり書き出したりするのが面倒という人は、今日の出来事を頭の中で振り返るだけでもいい。フィジカルとして自身の体に触れ、心地いいと感じる香りやテクスチャーに包まれて肉体的な強ばりをリセットするのと同様に、心の強ばりもその日のうちに解放する。「例えば日常の中で感じた小さな怒りや悲しみも、実は不安を突かれていたからなんだとか、本当に自分が大事にしているものは何だったのかなど、感情を因数分解することで見えてくる新たな気持ちがあります。そういった気持ちをありのままに捉えることが自己肯定感に繋がっていくのだと思います」。“愚痴をこぼすのはネガティブだ”という風潮によってなかなか他人に言えないことや、複雑に絡み合う人間関係の中で簡単に話せない事情など、繊細なトピックをAIとコスメを活用して紐解く。新しい時代のメンタルヘルスケアであり、セルフラブの方法だ。

体を整え、自分の気持ちを因数分解する

〈左から順に〉皮膚生理に着目した独自の成分が肌へとなじみ、グロウなボディに。グリーンフローラルの香り。ザ・ギンザ ボディオイル 80ml ¥22,000/ザ・ギンザ 善玉菌「ビフィズス菌BB-12 ™」を1包に10億個以上配合。就寝前に飲むと、快調な朝を迎えられる。アルティミューン ™ プロバイオティクス パウダー66g ¥6,480/SHISEIDO

話を聞いたのは……

ANNA OSADA
長田杏奈。美容ライター。雑誌やWebで美容に関する記事を数多く執筆。2019年には著書『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)を上梓。雑誌『エトセトラ』(エトセトラブックス)では「私の私による私のための身体」というテーマで責任編集を務めた。

問い合わせ先/アスレティア 0120-220-415
MTG 0120-46-7222
ザ・ギンザ お客さま窓口 0120-500824
SHISEIDO お客さま窓口 0120-587-289
パルファン・クリスチャン・ディオール 03-3239-0618
ランコムお客様相談室 03-6911-8151
ワフィト [email protected]

Text: Sachico Maeno Editor: Risa Yamaguchi

※『VOGUE JAPAN』2024年8月号「肌と心に効く最旬自己愛ビューティー」転載記事。