ブランドを象徴し、多くの人から愛される“イットバッグ”を生み出すことは、デザイナーにとっての夢だ。ディオール(DIOR)の「サドル」、ザ・ロウ(THE ROW)の「マルゴー」、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)のイントレチャートレザーのピースが最近よく目にする好例だが、これらと並ぶ人気バッグとして新たにファッションシーンに躍り出ているのが、ニコラス・デ・フェリーチェ率いるクレージュ(COURRÈGES)が手がける「ホーリー」だ。
近年のミニマリズムトレンドを受けてか、「ホーリー」のデザインは至ってシンプルで、装飾はなめらかなカーフレザーに小さくエンボス加工されたロゴのみ。その分、美しい流線フォルムが際立ち、わかる人にはわかるクワイエットラグジュアリーのムードも踏襲している。
今年2月に開催された2024-25年秋冬コレクションには、チャーリーXCXやエミリー・ラタコウスキーらセレブが揃って「ホーリー」片手にメゾンのショーに来場し、デ・フェリーチェがゲストデザイナーを務めたジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)の2024-25年秋冬オートクチュールコレクションには、エマ・チェンバレンがグローブとマッチしたマホガニーカラーのタイプを提げて参加した。
その人気はフロントローを飛び出し、セレブの間で加速し続けている。モデルのナターシャ・ポーリーはインスタグラムにブラックの「ホーリー」を合わせたコーデ写真を投稿し、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』出演俳優のオリヴィア・クックやデュア・リパもリアルスタイルに取り入れている。そして6月下旬、ヘイリー・ビーバーが自身のスキンケアブランド、ロード・スキン(RHODE SKIN)のポップアップにラテカラーの「ホーリー」バッグを提げて登場すると、注目度がより一層高まった。グッチ(GUCCI)の「ジャッキー」やロエベ(LOEWE)の「パズル」など、時代を超えて愛されるバッグになる可能性を感じずにはいられない。
Text: Hannah Jackson Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.COM