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「今の芸術が50年後の未来をつくる」──ヴィジュアルアーティスト・AsahiNaの描く世界【ユースクエイク vol.5】

最先端のテクノロジーを使った3Dアートを得意とし、動画クリエイターKemioのアパレルグッズや、水曜日のカンパネラのジャケットを手がけるなど、同世代のクリエイターたちから支持を受けるAsahiNa。彼女が考えるデジタルネイティブに生まれたからこその強みとは。

トップ ¥30,800 スカート ¥41,800/ともにANS DOTSLOEVNER(アンス・ドッツローヴナー) その他/スタイリスト私物

日常の中にある水や花、光、ガラスを3D技術で表現するヴィジュアルアーティストのAsahiNa は、まだ掛け合わせたことのない点と点を結び、新たな感動体験を探す。幻想的なデジタルワールドを創造する彼女の作品で核となるのは「心が動いた綺麗と美しいの感性」。その波動が輪のように広がり、動画クリエイターKemioのアパレルグッズを手がけるなど、音楽アーティストやクリエイターからコラボレーションのオファーが絶えない。

AsahiNa のインスピレーション源となるのは、デジタルとは対極の自分の目で見たリアルな世界。生まれ故郷である山梨県の自然豊かな山や川、水をモチーフに描くこともあれば、3時間以上散歩をして見つけた花や草の写真を撮り、イメージソースにすることもある。また自分の作品は意思を持ったまま生きていってほしいという願いを込め、最初の作業は手描きすることに決めている。

普段はSNSもあまり見ず、部屋で読書をすることが多いという彼女が、デジタルと3Dアートを用いて制作する理由には、2024年の“今”を反映することに意味があるからだという。「デジタルの時代に生まれた私が、ペインティングをするってなんか違和感があるんです。芸術ではあるかもしれないが、果たしてそれは現代芸術なのかなと。“2024年感”みたいなものを反映して未来をつくる作業が現代芸術だと思うので、最先端のテクノロジーをどんどん使っていきたい。今の芸術が50年後の未来をつくると思っています」

デジタルネイティブに生まれた世代の強みは、国内外のあらゆるものを簡単に見ることができ、それを知った上で自分のルーツがどこにあるのかを自然に考えられる部分だと言う。世界と戦うには、自分の何を推せばよいのか。問い続けて出た答えは、日本人としての強みを最大限に生かすこと。「日本のグラフィックの強さは圧倒的な細かさだと思っています。日本で生まれ、日本人らしい性格もアートに反映していく。大きく見せたり虚構の自分をつくり出したらアーティストとして意味がないので、常に自分に正直であること。生きることについても来月はどんな生き方をしたら綺麗かなと幼い頃から考えています」

プリントアートだけでなく今後は立体物や映像、アニメーションにも挑戦したいし、ほかにも夢や目標を挙げると100個以上になりますと笑って答える。着実に目標を達成していくため、必要なのは正しい量の努力。「努力することは大好きですが、根性論は嫌いで。すべて頑張ろうとしたら潰れてしまうので、行きたい方向に正しい量とベクトルの努力で進んでいくことが大切ですね」

Profile
AsahiNa(朝比奈)
2000年生まれのヴィジュアルアーティスト/グラフィックデザイナ ー。3DCGを用いたアートワークの制作を得意とし、アパレルブランドの広告ヴィジュアル制作や、Kemioや水曜日のカンパネラをはじめとする国内外のアーティストのジャケットやグッズを手がける。

問い合わせ先/
アンス・ドッツローヴナー ansdotsloevner.com

Photo: Kazuki Iwabuchi Styling: Hijiri Kimura Hair: Hayate Makeup: Shino Ariizumi Text: Saki Shibata Editor: Sakura Karugane