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年代から見る若年自動車購入者の特徴〜Car-kitから見る自動車市場④

昨今、若年層の自動車を購入・保有することに対する考え方が変化してきているという話を聞きます。たとえば、 一昔前までは、「自動車は新車を現金一括で購入」するという意識が強く根付いていましたが、様々な支払方法(例:残価設定型ローン)やリースの普及によって、購入方法にも多様性が生まれ、新車や現金一括という購入方法の慣例に縛られなくなっていると考えています。

このように、次世代の自動車業界において消費者の中心になっていく若年層を理解することは、今後の長期的な開発・施策検討に必須だと考えられます。この記事ではインテージが保有する自動車パネルデータ「Car-kit」のデータ等を用いて、自動車購入実態の違いだけでなく、自動車保有者の自動車への考え方・価値観を年代別に確認することで、若年層理解を進めていきます。

若年層のクルマ保有率は?

まず、 前提として、年代別の自動車保有実態を確認してみると、20代の保有比率は45.6%であり、免許返納等で自動車を運転しなくなる70代を除くと年代が下がるほど、保有率が低いことが分かります。注意すべき点は、図1だけでは単に若年層が自動車を保有することから離れていっているとは言えないことです。収入面やライフステージ等による自動車必要度が異なり、保有率が低い要因は複数考えられます。

図1

年代別の自動車保有

「自動車は新車を現金一括で購入」 は、今は昔

次に、自動車を保有している人にフォーカスして、特徴を見ていきます。
バブル時期には「自動車は新車を現金一括で購入」が主流だったとよく耳にしますが、新車・中古車比率を年代別に見てみると、60代は7割以上が新車を購入しており、現在でも過去の名残を感じられます。 世代から生じる差だけでなく、年収も理由の一つとして考えられますが、20代以下の新車購入率は約53%に留まります。しかし、20代だけではなく、年代が下がるほどに新車比率も下がってきており、「自動車は新車で」という風潮は無くなりつつあり、今後中古車市場がより拡大していくことが考えられます。

図2

年代別の新車・中古車比率

また、支払方法についても「現金一括で購入」だけでなく、一般的なローンや残価設定型ローン、リース等が浸透し始めています(図3)。世代別に見てみると、60代は現金一括購入が顕著に多く、50代との大きな差からバブル期を経験した影響がうかがえます。 一方で、20代・30代は所得が影響していたり、40代は子供への出費等で可処分所得が少なかったりと、年代間での要因は違いますが、年齢が下がるにつれて現金一括の比率は下がっています。改めて「新車で一括購入」の時代が遠くなったことが確認できます。

図3

年代別の自動車購入時支払方法

年代によってクルマ選びはどう違う?

さらに、自動車を購入する際の重視点にも年代で差が見られます。重視点1位はどの年代でもスタイルや外観ですが、メーカーへのこだわりは年代が上がるにつれて強くなっており、20代・30代でメーカーを重視する割合は2割以下であることが確認できます。理由としては、ディーラーや販売店との関係の長さも影響していると考えます。
年代が上がるにつれて、自分自身に使用できるお金が少なくなるからか、車両価格や燃料代を若年層よりも重視する傾向が見て取れます。

図4

年代別自動車購入時重視点

「メーカー重視度」に関して、もう少し詳しく見てみましょう。「車がよければメーカーにはこだわらない」という考え方にどの程度当てはまるかを聞いたところ、やはり高齢層と比べて若年層はメーカーにはこだわらない様子が確認できました。ディーラーや販売店との関係の長さも考慮する必要はありますが、そもそも若年層はメーカーを気にしていない可能性も考えられます。

図5

車に対する考え方:車が良ければメーカーにこだわらない

また、他にも若年層の特徴として、自動車を購入した若年層は、車を趣味の一つとしてとらえている人が多い傾向がみられました(図6)。自動車が生活に必要な人を除き、ライフステージの関係上、自分自身のために自動車を使うことができる20代~30代の中でわざわざ自動車を購入する人は「移動の足」ではなく、趣味や楽しみを理由にしていると考えられます。一方で、40代や50代は子供の送迎や介護等、「移動の足」として利用する場面が多い可能性が高いです。

図6

車に対する考え方:車は自分にとって趣味のひとつである

加えて、若年層は周囲の人に注目される車に乗りたいと思う傾向がみられました(図7)。
趣味や楽しみとして乗ることと同様に、ライフステージの関係上、若年層の方が自分自身のためだけに自動車を選ぶことができることを考慮しても、年代間に顕著に差がみられる部分でした。20代社員の意見を聞くと、「周囲の人に注目される」というのは、「ステータスとしての表現」ではなく、私らしさなど「自己表現」の1つにしたいとのことです。

図表7

車に対する考え方:周囲の人に注目される車に乗りたい

まとめ

自動車を購入する際に「自動車は新車を現金一括購入」という風潮は薄れてきていることが確認できました。これはバブル期から現代への<時代の移り変わり>と言えるでしょう。支払い方法が多様化する中、今後も一定の型にはとらわれず、ローンや中古車等、自身の経済状況に見合った選択をすると推察できます。

また、自動車を購入する際の選び方は年代による違いが大きく、若年層の特徴も明確にあらわれました。ただしこれは、ライフステージからくる違いであるため、時代を問わず見られてきたものと考えられます。
とはいえ、Z世代やα世代など、新たな価値観を持った世代が今後の消費者の中心になっていくことで、「このライフステージの人は主にこういう選び方」ではなくなっていく可能性は十分あります。そのため、属性や年代の特徴をいち早くキャッチアップしていくことが必要になります。

著者プロフィール

磯上 尚規(いそがみ なおき)プロフィール画像
磯上 尚規(いそがみ なおき)
2020年に立教大学卒業後、インテージ入社。大学では認知心理学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

2020年に立教大学卒業後、インテージ入社。大学では認知心理学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

Car-kit®(自動車パネル)
株式会社インテージが毎月約70万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータです。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施しています。
※Cat-kitは株式会社インテージの登録商標です。

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