松嶋尚美さん「1ミリもできへんやろ」 ツッコミ尽きない介護と子育て
タレントの松嶋尚美さん(52)は3年前の冬、母(87)の介護が子育てと重なるダブルケアラーになった。「1ミリもできへんやろ!」。その生活は漫才のようなツッコミが尽きないという。悩みと笑いがごちゃ混ぜに押し寄せるダブルケアは、ゼロから始まった。【聞き手・井手千夏】
高齢化や晩婚・晩産化が進む中、子育てと介護を同じ時期に迫られる「ダブルケア」が増えています。芸能界や政府で活躍する著名人も例外ではありません。
社会の認知度がまだ低く、担い手への支援が広がっていないダブルケアについて「じぶんごと」として考えてほしい。経験した著名人の告白をつづるインタビュー連載「わたしとダブルケア」(全3回)は、9月19日まで連日午前7時に公開予定です。連載は以下のラインアップでお届けします。
第1回 松嶋尚美さん「1ミリもできへんやろ」
第2回 矢田稚子さん「もう限界」
第3回 U.K.さん「あなたは1人じゃない」
きっかけは2021年9月でした。
2人姉妹の長女として生まれた私は生活拠点を出身の大阪から東京に移し、夫と小学4年だった長男(12)、2年の長女(11)と4人で暮らしていました。
新型コロナウイルスが各地で猛威をふるっていた頃。二つ年下の妹が突然、心筋梗塞(こうそく)で倒れたのです。
妹は足の不自由な母と大阪で同居し、家族と面倒を見てくれていました。1カ月以上意識が戻らず、退院のめどが立たない状況でした。
20代になる妹の娘は「おばあちゃんは見るよ」と言ってくれたんですが、介護は一筋縄にはいきません。互いにぶつかることが増えていると聞いていました。
モヤモヤの3カ月後
「何かしんどいわ」。夫にそう漏らすことが多くなっていました。
でも、「私が世話する」と言い出せませんでした。
私にも家族ができて、自宅に誰か1人、しかも支援が必要な高齢者を新たに迎えることは「夫や子どもに負担と迷惑をかけちゃう」と思っていたからです。
私はどうしたらいいの? そんなモヤモヤと向き合いながら、3カ月がたった年の瀬のことでした。
「引き取ろうや、うちで」。夫にそう声をかけられ、救われました。本当にうれしかった。
とは言っても、「ケアマネって何なん?」とい…
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