Spotify182,000曲を分析!最も人気な集中できる音楽・作業用BGMを紹介

Spotifyで1,200以上のプレイリストと182,000曲を分析し、集中する際にどのアーティスト、プレイリスト、アルバム、ジャンルが人気かを調査しました。
Matt Zajechowski

ヘッドホンを装着して、お気に入りのプレイリストを再生し、周りの雑音をシャットアウトしたことはありますか?音楽には、気分を高め、ストレスを軽減し、集中力を高める力があります。

では、仕事や勉強のときにはどんな音楽が良いのでしょうか?

Spotifyの1,200以上のプレイリスト、182,000曲、58,000アーティストを分析し、仕事や勉強、またはオンライン英会話レッスンを受けているときなどに最も好まれるアーティスト、曲、アルバム、ジャンルを特定しました。分析の際に注目したキーワードは「集中力(concentration)」、「集中(concentrate)」、「フォーカス(focus)」、「作業中(working)」、「ディープワーク(deep work)」、「生産性(productivity)」、「勉強(studying)」の7つです。

結果

  • 集中力や生産性を高めるために人気のあるジャンルは、ローファイ(lo-fi)、エレクトロニック、アンビエントです。
  • ルドヴィコ・エイナウディ、オーラファー・アルナルズ、ボノボが、集中力や生産性を高めるために人気のあるアーティストです。
  • インターステラー、ウエストワールド、ゲーム・オブ・スローンズなどの映画サウンドトラックの音楽が、集中するためのプレイリストで特に人気がありました。

集中するために人気のある音楽

最も人気のあるジャンルは、ローファイ、エレクトロニック、アンビエントでした。

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1. ローファイ(Lo-fi) / チルホップ(Chillhop)

仕事や勉強のためのトップ100プレイリストのうち、20%がローファイまたはチルホップに分類されました。特にパンデミックの間に人気が急上昇し、2020年以降の検索数は112%増加しました。

「ローファイ」とは「不完全な録音状態」を意味し、不完全な音を含む音楽です。例えば、ビニールのパチパチ音やスネアドラムの雑音などです。ローファイは、ハウス、ジャズ、イージーリスニング、ヒップホップビートの要素を含んでおり、脳の前頭葉が集中するのを助けます。

チルホップは、チルアウトミュージックとヒップホップの融合で、スローで心地よいテンポを持ち、弦楽器、ピアノ、シンセサイザーがよく使用されます。一般的に、イージーリスニングやエレベーターミュージックと称されることもあります。年齢別に見ると、15歳から35歳の間で人気があります。

2. エレクトロニック

調査の中で2番目に人気のあるジャンルはエレクトロニックミュージックでした。エレクトロニックミュージックは、キーボード、デジタルシンセサイザー、ドラムマシンなどの電子楽器やテクノロジーを使用して作り出されます。

エレクトロニックミュージックには、ハウス、テクノ、トランス、ドラムンベースなどの多様なタイプがあります。仕事や勉強のためのトップ100のプレイリストのうち、13%がエレクトロニックミュージックに分類されました。

3. アンビエント

仕事や勉強のためのトップ100のプレイリストのうち、10%がアンビエントに分類されました。アンビエントはメロディやリズムよりも、ムードや雰囲気を重視する音楽です。

アンビエントトラックは、コード進行を繰り返さず、即興的な要素が大きいです。ポップ、ロック、カントリーミュージックに見られるような「フック」がなく、集中力を妨げることがありません。

勉強や仕事中に聴く際に人気なアーティスト

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集中しやすい音楽の種類がわかったところで、次に人気のあるアーティストについて見ていきましょう。

ヒップホップ、カントリー、ポップ、ロックなどの人気スタイルはほとんど入っていません。トップ5のアーティストの中で現役のチャートトップを飾るのは、アメリカのポップとR&Bのシンガーソングライターであるカリードだけです。彼は「Eastside」や「Young, Dumb & Broke」などの曲で知られています。

その他には、作曲家、エレクトロニックプロデューサー、映画音楽の作曲家が上位にランクしています。有名なアーティストはむしろリストの下の方に位置しており、例えばジャスティン・ビーバー(11位)、ODESZA(12位)、ビリー・アイリッシュ(13位)、ドレイク(17位)、エド・シーラン(23位)、ナイル・ホーラン(24位)などはそれほど上位にランクしていません。

人気ラジオ局やストリーミングリストには登場しないクラシックの作曲家もここではかなり目立っています。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(14位)、ヨハン・セバスティアン・バッハ(19位)、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(25位)などです。

トップ3はこちらです。

1. ルドヴィコ・エイナウディ

イタリアのピアニスト兼作曲家であるルドヴィコ・エイナウディは、ロック、ジャズ、アメリカのミニマリズムから影響を受けたクラシック音楽を制作しています。

ルドヴィコ・エイナウディの名前を聞いたことがないかもしれませんが、彼は今回分析したプレイリストのリスナーの間で非常に人気があります。彼の名前はこれらのプレイリストで1,000回以上登場し、その数は、2番目に人気のあるアーティストの2倍以上です。さらに、「Nuvole Bianche」と「Experience」の2曲が、勉強する際に最も人気のある曲のトップ10にランクインしました。

2. オーラファー・アルナルズ

オーラヴル・アルナルズの名前は、分析したプレイリストで400回以上登場しました。オーラファー・アルナルズは、アイスランド出身のマルチ楽器奏者であり、電子音楽のプロデューサーでもあります。クラシック、実験音楽、エレクトロニカ、アンビエントなどのジャンルで、弦楽器とピアノをループやビートと組み合わせています。

3. ボノボ

イギリスのミュージシャンでありトリップ・ホップというジャンルの音楽プロデューサーでもあるボノボ(本名:サイモン・グリーン)は、分析したプレイリストで300回以上登場し、3位にランクインしました。

トリップ・ホップは、1970年代のファンクやクールジャズを取り入れた雰囲気のあるダウンテンポの音楽です。ボノボの楽曲には、ジャズ、ガレージ、ソウル、ディープハウスの要素があります。

勉強や仕事の際に最も人気のある曲

さらに深く掘り下げて、プレイリストで最も人気のある具体的な曲を見てみましょう。

映画サウンドトラックの曲が人気で、トップ20曲のうち5分の1を占めています。具体的には、アメリ、インセプション、インターステラーのサウンドトラックです。他にも、ハリー・スタイルズの「Golden」(24位)、ジェームス・ベイの「Let It Go」(32位)、トレインの「Hey, Soul Sister」(42位)などがあります。

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勉強や仕事の際に最も人気なアルバム

個々の曲が人気リストの上位にランクインするだけでなく、アルバム全体としてもサウンドトラックが人気です。実際、トップ10アルバムのうち大部分がサウンドトラックで、インターステラー、ウエストワールド、ゲーム・オブ・スローンズなどが上位にランクインしています。

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特筆すべきは、ラミン・ジャヴァディの作品がトップ10のアルバムに複数ランクインしていることです。ゲーム・オブ・スローンズやウエストワールドの2シーズンのサウンドトラックです。ハンス・ジマーもインターステラーとプラネット・アースIIのサウンドトラックでトップ10に2回登場しています。

サウンドトラック以外では、ハリー・スタイルズの「Fine Line」(10位)、エド・シーランの「÷ (Deluxe)」(16位)、ブルーノ・マーズの「Doo-Wops & Hooligans」(25位)、ジョン・メイヤーの「Continuum」(28位)がランクインしています。

なぜサウンドトラックは集中するのに適しているのでしょうか?

サウンドトラックは、感覚を刺激しつつも脳の背景に溶け込むように作曲されているため、特に音楽に気を取られることなく、作業を続けることができます。多くのサウンドトラックには歌詞やボーカルが含まれることもありますが、映画やテレビのサウンドトラックはほとんどがインストゥルメンタル(歌がない、楽器のみ)で構成されているため、作業に適しています。

調査によると、インストゥルメンタルのバックグラウンドミュージックは、集中力を高め、勉強や仕事に役立つことがわかりました。例えば、オンライン英語レッスンオンライン韓国語レッスンオンライン中国語レッスンを受講している場合、穏やかなバックグラウンドミュージックを各言語で聴くことで、言語の音に脳が慣れ、より良い言語習得につながるかもしれません。

調査方法

1,200以上のプレイリスト、182,000曲、58,000アーティストを分析し、仕事や勉強中に最も人気なアーティスト、曲、アルバム、ジャンルを調べました。分析に使用したキーワードは、「concentration」「concentrate」「focus」「working」「deep work」「productivity」「studying」の7つです。

プレイリストの人気度を、「いいね」の数と、各キーワードを検索した際のSpotifyの検索結果のランキングで評価しました。この2つの方法を比較した結果、「いいね」の数よりも、Spotifyの検索結果のランキングが実際のユーザーの興味をより反映していることがわかりました。

勉強や仕事の際に最も人気のある楽曲は、オンライン英会話レッスンを受けている時など、複雑な作業に集中する時に役立つでしょう。プレイリストの構成方法によって人工的にカウントが増えているアーティストやプレイリストは、より正確なデータを得るために除外しました。

どの音楽ジャンルが人気かを調べる際には、上位100のプレイリストのタイトルとその説明文を分析し、各ジャンルが言及された回数により、人気のジャンルを決定しました。

この記事のデータを利用される場合は、この記事へのリンクを付けて引用してください。

 

この記事は、Matt Zajechowskiによって執筆され、木嶋弓子が翻訳・編集しました。

Matt Zajechowski
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Matt is a Marketing Specialist with 14 years of experience in digital marketing. Matt is a world traveler who is always in search of his next destination when he's not working, writing or spending time at home with his dog and cat. Matt speaks English and German. Connect with him on Twitter and Linkedin.

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