バズカットと一言で言っても、実際のヘアスタイルはじつに多岐にわたる。人それぞれ髪質や頭の形が異なるので、たとえ2人の人間が同じバズカットにしても、まったく同じヘアスタイルにはならないだろう。また、同じバズカットをオーダーしても、サロンの特徴やカットする側のクリエイティビティによって仕上がりは変わってくる。
つまり、「バズカットにしたい」ではなく、「どんなバズカットにしたいのか」まで、考えておく必要があるのだ。
定番からアレンジタイプ、そしてその間に、無数のバズカットスタイルが存在する。なりたい髪型を伝えるためには、理想とするバズカットの写真をサロンに持ち込んだ方がいいだろう。その写真をスタート地点として、自分の髪質などを踏まえた髪型をスタイリストに相談し、プロの意見をもらうのが望ましい。
ヘアサロンを訪れる前に検討すべき、バズカットの7つのスタイルを以下にまとめた。
インダクション・バズカット
最も短く、よく知られているクラシックスタイル。ミリタリースタイルとして有名で、入隊(インダクション)時に頭を丸坊主にすることからこの名前がついている。バリカンのアタッチメントを外すか、#0.5もしくは#1のアタッチメントを使うことが多い。
インダクションは、髪を染めたあとや伸ばして痛んでしまったときなど、ヘアスタイルをリセットするのにも適している。一緒にヒゲを剃ってもらうのもいいが、ゼインのような無精髭スタイルにもマッチするカットだ。
バー・バズカット
インダクションよりも少し長く、バリカンのアタッチメント番号は#1から#2。ちくちくした手触りが魅力だ。坊主としては長めで、肌と髪のコントラストが映えるのでヘアラインに自信がある人は挑戦してほしい。ここからさらに刈り込むこともできるので、坊主のスタートラインにしてもいいだろう。
ただし注意点があって、薄毛が気になる人には向かない。インダクションの方が全体が短いぶん薄毛が目立たないのだ。アンガスの写真でも、彼の頭の傷痕(?)は目立ってしまっている。
ブッチ・バズカット
バリカンのアタッチメントは#3から#4で、髪の長さは10mm強。特にスウェインのようなクセ毛タイプは、髪の動きがわかる長さなのでスタイルに味が出る。スタイリング剤を使う意味があるのもこのあたりから。
ヘアスタイルとのコントラストを楽しみたいなら、髭はない方がいい。
フェード・バズカット
フェードに長さの指定はなく、ブッチやバーくらい短い場合や、ベリーショートほど長い場合もある。フェードスタイルで大切なのは、長さではなくトップよりもサイドが短くなっているということ。サイドのカットは、バリカンのアタッチメントなし、または剃刀で極限まで刈り込んでいい。サイドからトップに向かって、徐々に長くしていくグラデーションが魅力だ。
刈り込んだサイドは髪が伸びると目立つので、2週間に一度程度のタッチアップが必要。ゆえにハイメンテナンスなスタイルだ。ただ、カットしたてのフレッシュ感は圧倒的。
クルーカット
バズカットを単純に坊主だと考えると、その境界線が曖昧になるのがこのクルーカット。短いサイドと長めのトップはフェードと同じだが、クルーカットになるとトップはさらに長くなり、前髪もできるので、十分にスタイリングができる長さになる。バリカンのアタッチメントの番号も大きくなるし、ハサミだけでカットするスタイリストもいる(コナーの長さならハサミのみで可能だろう)。
クルーカットと次に紹介するハイ&タイトは、普遍的かつスタイリッシュなカットで共通点も多い。
ハイ&タイト・バズカット
フェードとクルーカットの間と表現するしかないのがハイ&タイト。フェードよりもサイドの短い部分が上まであり、長短のコントラストがはっきりしている。クルーとの違いは、前髪の有無とトップ部分の丸みだろう。マルーマのカットはハイ&タイトのお手本。
アイビー・リーグ・バズカット
アイビー・リーグスタイルを「バズカット」のジャンルに含めるかどうか、これは意見が分かれるだろう。なぜなら、バリカンを使わないからだ。しかし、サイドの下部は短め(肌に馴染ませるほど短くはない)なので、バリカンを一切使わないとも言い切れない。サイドから長めのトップへのグラデーションは、こめかみあたりから始まる。トップサイドが広がりやすく角ばって見える人は、ハイ&タイトよりもアイビー・リーグの方が向いている。
From: GQ.COM Adapted by Soko