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大隅良典

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大隅 良典おおすみ よしのり
大隅 良典(2016)
生誕 (1945-02-09) 1945年2月9日(79歳)
日本の旗 福岡県福岡市
居住 日本の旗 日本
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
国籍 日本の旗 日本
研究分野 生物学
研究機関 ロックフェラー大学
東京大学
自然科学研究機構基礎生物学研究所
総合研究大学院大学
東京工業大学
出身校 東京大学教養学部卒業
東京大学大学院理学系研究科
博士課程単位取得満期退学
博士課程
指導教員
今堀和友
他の指導教員 ジェラルド・モーリス・エデルマン
主な業績 オートファジー分子機構
および生理学機能研究
影響を
受けた人物
八杉龍一
マイケル・ファラデー
三宅泰雄
影響を
与えた人物
吉森保水島昇
主な受賞歴 日本学士院賞2006年
朝日賞2008年
京都賞基礎科学部門2012年
ローゼンスティール賞2015年
ガードナー国際賞2015年
ワイリー賞2016年
ノーベル生理学・医学賞2016年
プロジェクト:人物伝
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:2016年
受賞部門:ノーベル生理学・医学賞
受賞理由:オートファジーの仕組みの解明

大隅 良典(おおすみ よしのり、1945年昭和20年)2月9日 - )は、日本生物学者分子細胞生物学)。学位は、理学博士東京大学1974年)。東京工業大学科学技術創成研究院特任教授栄誉教授自然科学研究機構特別栄誉教授、総合研究大学院大学名誉教授基礎生物学研究所名誉教授、東京大学特別栄誉教授。福岡市名誉市民、大磯町名誉町民、京都大学名誉博士大隅基礎科学創成財団理事長。

自然科学研究機構基礎生物学研究所教授兼総合研究大学院大学生命科学研究科教授、東京工業大学フロンティア研究機構特任教授などを歴任した。「オートファジーの仕組みの解明」により2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。

来歴

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2016年12月10日、ストックホルムで行われたノーベル賞授賞式にて

生い立ち

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太平洋戦争末期の1945年2月9日福岡県福岡市にて生まれた[1][2]。4人兄弟の末子である[2]。父大隅芳雄九州大学工学部教授を務めていた。なお父は、佐世保工業高等専門学校3代目校長を務めていた。家は福岡市の外れにあり、周囲は農家の子どもたちばかりという環境で、皆と一緒に自然の中で遊んだ[2]。幼い頃から、和雄から贈られた自然科学に親しんだ[2]。特に八杉龍一の『生きものの歴史』、マイケル・ファラデーの『ろうそくの科学』、三宅泰雄の『空気の発見』などに心を動かされ、科学に興味を持った[2]

福岡県立福岡高等学校では化学部に所属した。卒業後、東京大学理科二類に進学[2]。当初は理学部で化学を学ぼうと考えていたが、教養学部に新設された基礎科学科に興味を持ち、そちらに進む[2]。基礎科学科の同級生には、神原秀記渡辺公綱らがいた[2]。1967年に東京大学を卒業し、学士称号を取得した[1][2][3]。そのまま東京大学大学院理学系研究科相関理化学専攻(同専攻の場所は駒場)に進学した[2][4]タンパク質生合成についての研究に魅力を感じ、今堀和友の下で指導を受けた[2]。なお、博士課程においては、京都大学大学院でも内地留学して学んでいる[2]。1972年に、東京大学大学院を単位取得満期退学した[3]。その後、1974年東京大学より理学博士の学位を取得した[1][2]。論文の題は「コリシンE3の作用機作に関する研究」[5]

研究者として

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恩師である今堀和友の紹介でジェラルド・モーリス・エデルマンの研究室に留学することになり、アメリカ合衆国に渡り、ロックフェラー大学博士研究員となった[1][2]。その頃のエデルマンは、従来研究していた免疫学を離れ発生生物学に取り組み始めていたため、大隅も試験管内での受精系の確立の研究に従事した[2]

東京大学理学部安楽泰宏に声をかけられたのをきっかけに、日本に帰国した[2]。1977年より1986年にかけて、東京大学理学部にて助手を務めた[1][2]。1986年には東京大学理学部にて講師に昇任し、1988年まで勤めた[1][2]。同年に東京大学教養学部に転じ、助教授に就任した[1][2]。1996年、岡崎国立共同研究機構が設置する基礎生物学研究所に転じ、同教授に就任するとともに[1][2]総合研究大学院大学生命科学研究科基礎生物学専攻教授も兼任した[6][1][2]。2009年、基礎生物学研究所と総合研究大学院大学の教授を退任することとなり、それぞれ名誉教授の称号が贈られた[1]。同年、東京工業大学にて、統合研究院の特任教授に就任した[2]。現在は、東京工業大学フロンティア研究機構にて特任教授を務めている[3]

研究

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ノーベル生理学・医学賞受賞に際して文部科学省により公表された肖像写真

専門は生物学であり、特に分子細胞生物学などの分野を研究している。オートファジーの分子メカニズム生理学的な機能についての研究が知られている。その研究論文は他の研究者から多数引用されており、2013年にはトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞している[7]。そのほか、藤原賞、日本植物学会学術賞、朝日賞などを受賞している[2][8]。2006年、日本学士院は、大隅の業績について「一貫してオートファジーの分子機構の解明に正面から取り組んでおり、他の追随を全く許さない研究を続けている」[9]と高く評価し、日本の学術賞としては最も権威ある日本学士院賞を授与している[2][8][10]。2012年には、「生体の重要な素過程の細胞自食作用であるオートファジーに関してその分子メカニズムと生理的意義の解明に道を拓いたものとして高く評価される」[11]として、ノーベル賞を補完する学術賞として知られる京都賞基礎科学部門を受賞している[12]。細胞が自らのタンパク質を分解し、再利用する「オートファジー」(自食作用)の仕組みを解明し、悪性腫瘍の特効薬を発明した功績が認められガードナー国際賞を受賞した。2016年10月3日、「飢餓状態に陥った細胞が自らのタンパク質を食べて栄養源にする自食作用『オートファジー』の仕組みを解明した」卓越した成果が認められ、ノーベル生理学・医学賞を単独受賞する。メカニズムの詳細については「オートファジー」を参照。

所属学会は日本生化学会、日本分子細胞生物学会、日本植物学会、日本植物生理学会などに所属。

人物

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トレードマークのはアメリカ合衆国に留学した頃から伸ばし始めた。顔が若く見えることでアメリカ人から見下されるのが嫌で髭を伸ばすようになったという[2]

家族・親族

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2015年10月29日、ガードナー国際賞授賞式にて妻の大隅萬里子(右)と

略歴

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乳児期の大隅
2015年10月29日、ガードナー国際賞授賞式にて

学術賞

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2015年10月29日、ガードナー国際賞授賞式にてガードナー財団理事長ジョン・ダークス(左端)、カナダ駐箚特命全権大使門司健次郎(右から2人目)、ガードナー財団議長ローン・ティレル(右端)と

栄典・勲章

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主要論文

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  • 前田章夫、大隅良典、深見博一、「大腸菌における蛋白合成の開始」 生物物理 1969年 9巻 4号 p.155-164, doi:10.2142/biophys.9.155
  • 大隅良典、「III.酵母の輸送系とその制御」 化学と生物 1982年 20巻 12号 p.799-806, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.20.799
  • 大隅良典、「液胞膜における輸送現象 酵母の研究を中心として」 生物物理 1985年 25巻 4号 p.156-161, doi:10.2142/biophys.25.156
  • 大隅良典、安楽泰宏、北本勝ひこ、「酵母の液胞 その機能と応用」 日本釀造協會雜誌 1985年 80巻 1号 p.11-16, doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.80.11
  • 大隅良典、大隅万里子、馬場美鈴、「酵母における自食作用の発見 飢餓によって誘導されるオルガネラ」 蛋白質核酸酵素 38(1), p46-52, 1993-01, NAID 40002332068
  • 大隅良典、「細胞の自己分解系 : 酵母の自食作用をモデル系として」 組織培養研究 14(1), 28-29, 1995-03-31, NAID 10013839951
  • 松浦彰、馬場美鈴、大隅良典、「出芽酵母のオ-トファジ- (ライソゾ-ム<特集>)」 生体の科学 46(3), p215-219, 1995-06, NAID 40002062630
  • 大隅良典、「酵母の自食作用」 生化學 69(1), 39-44, 1997-01-2, NAID 10007850066
  • 馬場美鈴、大隅良典、「液胞への選択的な蛋白質輸送-新しい自食作用様経路」 電子顕微鏡 1998年 33巻 2号 p.129-131, doi:10.11410/kenbikyo1950.33.129
  • 大隅良典、「自食作用(autophagy)研究の新展開 - 細胞内タンパク質分解機構 -」 生物物理 1999年 39巻 1号 p.34-39, doi:10.2142/biophys.39.34
  • 馬場美鈴、大隅正子、大隅良典、「酵母細胞におけるオートファジーの膜動態」 電子顕微鏡 35, 246, 2000-05-01, NAID 10004743659
  • 吉本光希、花岡秀樹、野田健司 ほか、「植物オートファジーにおけるAtAPG8ファミリーの解析」 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 日本植物生理学会2003年度年会および第43回シンポジウム講演要旨集 p.712, doi:10.14841/jspp.2003.0.712.0

著作

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編纂

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翻訳

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脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j 「略歴」『稲盛財団 laureates/k28_b_yoshinori/prf.html Archived 2015-03-26 at the Wayback Machine.』稲盛財団。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 「自分を食べて生き残る細胞に魅せられて」『scientist:大隅良典JT生命誌研究館
  3. ^ a b c 研究者詳細画面 | 東京工業大学 STAR サーチ
  4. ^ 東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻
  5. ^ 博士論文書誌データベース
  6. ^ a b 基礎生物学研究所 研究部門・施設 > 名誉教授 > 大隅良典
  7. ^ 「『トムソン・ロイター引用栄誉賞』を発表。日本からは、東京工業大学の細野秀雄氏、大隅良典氏、東京大学の水島昇氏」『「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を発表。日本からは、東京工業大学の細野秀雄氏、大隅良典氏、東京大学の水島昇氏 - トムソン・ロイタートムソン・ロイター、2013年9月25日。
  8. ^ a b 「主な受賞と栄誉」『稲盛財団 Archived 2015年3月26日, at the Wayback Machine.』稲盛財団。
  9. ^ 『第九十六回日本学士院受賞者略歴』28頁。
  10. ^ 「第96回(平成18年7月3日)」『恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧 | 日本学士院』日本学士院。
  11. ^ 「贈賞理由」『稲盛財団 Archived 2015年4月2日, at the Wayback Machine.』稲盛財団。
  12. ^ 「第28回(2012年)」『京都賞 年度別受賞者|稲盛財団 Archived 2015年4月2日, at the Wayback Machine.』稲盛財団。
  13. ^ a b c 『大衆人事録 第二十三版 西日本編』お202頁。
  14. ^ 長沼 賢海とはコトバンク。2016年10月5日閲覧。
  15. ^ 卒業生姓名工学部工学士『東京帝国大学要覧 昭和4年』394-397頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2016年10月4日閲覧。
  16. ^ 大隅萬里子教授の共同研究がノーベル医学・生理学賞として選定されました 帝京科学大学 2016年10月5日閲覧。
  17. ^ 大隅良典 東京工業大学栄誉教授 略歴 (PDF)
  18. ^ [1] (PDF) 東京大学
  19. ^ 大隅良典特任教授に栄誉教授の称号を授与 | 東工大ニュース | 東京工業大学
  20. ^ [2]東京大学
  21. ^ [3]自然科学研究機構
  22. ^ 文化勲章、ノーベル賞2氏や仲代達矢さんら7人”. YOMIURI ONLINE (2015年10月30日). 2015年10月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月25日閲覧。
  23. ^ 文化勲章に6人決まる 大隅良典氏や草間彌生氏ら”. 朝日新聞デジタル (2016年10月28日). 2020年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月3日閲覧。
  24. ^ 「福岡県県民栄誉賞」贈呈式 ~ノーベル賞受賞者大隅栄誉教授への贈呈~”. ふくおかインターネットテレビ. 2022年8月7日閲覧。
  25. ^ 福岡市名誉市民”. 福岡市. 2022年8月7日閲覧。

参考文献

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  • 広瀬弘『大衆人事録 第二十三版 西日本編』帝国秘密探偵社、1963年。

関連人物

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関連項目

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外部リンク

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