インドネシア次期大統領の財政運営巡り市場に警戒感、財務相交代も不安視
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7月8日、インドネシアのプラボウォ国防相(写真)が次期大統領となる10月以降、どのような財政運営をするのかを巡り、市場で警戒感が浮上し始めた。写真はシンガポールで6月撮影(2024 ロイター/Edgar Su)
Stefanno Sulaiman Rae Wee
[ジャカルタ/シンガポール 8日 ロイター] - インドネシアのプラボウォ国防相が次期大統領となる10月以降、どのような財政運営をするのかを巡り、市場で警戒感が浮上し始めた。
きっかけは政権移行チームによる学校給食の無償化提案で、来年必要な予算は71兆ルピア(43億5000万ドル)と見積もられている。
インドネシアは現在のジョコ政権の下で財政状況改善が続き、今世紀初めにジャンク級だったソブリン格付けは投資適格級に引き上げられた。政権移行チームはバラマキを否定し、次期政権でも国内総生産(GDP)の3%以内に財政赤字を抑えるルールを尊重すると強調。一部投資家からは、インドネシアが8%の経済成長目標を達成するには多少の歳出拡大は好ましいとの声さえ聞かれる。
ただプラボウォ氏が実際にどの程度の歳出を計画しているのか、また財政均衡のために燃料などへの補助金を削減するかどうかについて市場が不安を感じている。
市場は、ムルヤニ財務相による慎重で安定的な財政運営にすっかり慣れてしまっただけに、こうした相応の歳出提案が出てきただけでも動揺する面がある。
そのためインドネシアの10年国債利回りは5月下旬以降で35ベーシスポイント(bp)上昇し、足元では7.05%で推移。通貨ルピアは、ほとんどがドル高の影響とはいえ、年初来で5%余り値下がりした。
アリアンツでアジア太平洋地域債券の最高投資責任者を務めるジェニー・ゼン氏は「われわれは財政リスクが増大しつつあり、市場はインドネシア国債により大きなリスクプレミアムを要求し始めるかもしれない」と述べた。
また市場の評価が極めて高いムルヤニ氏の後任が誰になるか分からないことも、リスク要因になるという。
ウィリアム・ブレアのポートフォリオマネジャー、クリフォード・ラウ氏は「確実性よりは不確実性の要素が多くなりそうだ。私は投資を続けるが恐らく以前ほどオーバーウエートにはしない」と話す。
今年6月までの時点で、外国投資家はインドネシアの国債と株式から28億ドルの資金を引き揚げている。