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メーガン妃も投資するバッグブランド、セスタ コレクティブのエシカルな物づくり【若手デザイナー連載】

ルワンダのバスケット編み職人たちによって作られるセスタ コレクティブ(CESTA COLLECTIVE)のバッグ。「女性職人とのコラボレーションによる、エシカルな基準に基づく公正な物づくり」というミッションを掲げ、メーガン妃を外部出資者に持つブランドのこれまでとこれからを共同設立者の2人が語る。
Photo: Eric Charbonneau/Getty Images

“メーガン妃効果”をご存知だろうか。メーガン妃が公の場で着用するアイテムが瞬時に完売する現象を指し、義理の姉であるキャサリン皇太子妃も同じ効果を発揮することで有名だ。2017年にヘンリー王子と初めてカップルとして公式行事に参加した際に着ていた、友人のミシャ・ノヌー(MISHA NONOO)が手がけた「ハズバンド」シャツ。2018年に公務でカーディフを訪れた際に履いていたヒウットデニム(HIUT DENIM)のジーンズに、オーストラリアを訪問したときに履いていたロージーズ(ROTHY'S)のフラットシューズ。これらはすべて、彼女が人前で着用したことでものの数分で売り切れたアイテムたちだ。

そんな彼女が最近愛用しているのが、セスタ コレクティブ(CESTA COLLECTIVE)のバスケットバッグだ。初めて提げているところをキャッチされたのは2023年5月。キャメロン・ディアスグウィネス・パルトロウとディナーに出かけたときにバケツ型タイプをコーデに取り入れ、瞬く間にブランドの存在を世に広めた。翌朝には注文が殺到。撮影のためにメキシコ行きの飛行機に搭乗するところだったブランド設立者たちの携帯は通知音が鳴り止まなかった。

「その時点では、何もタグ付けされていなかったので、何が起きているのかわかりませんでした」とコートニー・ウェインブラット・ファシャーノは『VOGUE』に語る。「数時間後、飛行機を降りてスマホの電源を入れてやっと事態を理解したんです。とても興奮しました」

Photo: Karwai Tang/Getty Images

ブランド史上最高の売上を記録した後、ファシャーノと共同設立者のエリン・ライダーは、メーガン妃のチームに感謝の意を伝えることにした。その後すぐに、メーガン妃本人と電話で話す機会が設けられた。「気持ちがすごく通じ合ったんです」とファシャーノは言う。「そして、何か協力できることはないかと聞いてくれました」

セスタ コレクティブのバッグはオンラインで知ったというメーガン妃は、ブランドのアイテムを支持するだけでなく、現在同社に少数株主として出資している。ファシャーノとライダーが設立当初から掲げているミッションを考えると、彼女がファンである理由は明快だ。

ファッションで培ったスキルを世の中のために活かしたい

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共通の友人から紹介された元ファッション・エディターのファシャーノと当時ブランド・ディレクターだったライダーは、ともにファッション業界に幻滅していた。それがきっかけですぐに意気投合した2人。「揃ってこの業界を後にするのではなくて、お互いのスキルを世の中のために活用して、心から誇れることをしようと決めたんです」とライダーは振り返る。

2人はハンドクラフト、特にバスケット編みに興味を持ち、その工芸に携わる人々を支援したいと思い始めた。「バスケット編みは世界中の女性にとって、経済的自立を果たすためのとても大切な術なのです」とファシャーノは説明する。「一緒にバッグを制作している女性の多くは家で作業をしているので、子どもや家畜の面倒を見ながらバスケット編みができて、家族もその恩恵にあずかることができます」

ファシャーノとライダーはルワンダの女性協同組合と協力して、セスタ コレクティブのバッグを作り始めた。そしてバッグの価格は作り手である女性職人たちが設定している。彼女たちの多くは、バスケットを編むのに使うサイザルアサを実際に自分で栽培し、有機野菜を使って素材を染めている。「すべてが私たちの仕様に合わせてカスタムメイドされています」と言うファシャーノは、バッグはシチリアの革職人によって仕上げられると付け加えた。

ブランドの設立者であるコートニー・ワインブラット・ファシャーノとエリン・ライダーは、ルワンダの女性協同組合と協力してバッグを制作している。

Photo: Courtesy of Cesta Collective

メーガン妃の後ろ盾を得て、たった5つのサンプル・スタイルからスタートしたセスタ コレクティブがますます力をつけていることは明らかだ。「彼女のサポートは計り知れません。メーガン妃が私たちのバッグを身につけるたびに、私たちが行なっているエシカルなビジネスや決断のひとつひとつへの支持が高まります。とてもとても意味のあることなのです」と話すファシャーノに続いて、ライダーはこう語った。「『公爵夫人が身につけているものを私たちが作っているなんて!』という感じで、職人たちもメーガン妃のお墨付きをもらって感激しています」

「ゴールは世界中の最高の職人たちと物づくりをすることです。セスタ コレクティブの存在を広めて、ライフスタイル・ブランドにしたいという大きな野望があります。可能性は無限大です。とはいえ、職人たちを一番に思ったエシカルな物づくりを推し進めていくのを何よりも優先しています」

Text: Emily Chan Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK