本文へスキップします。

フリーワード検索 検索

【全】ヘッタリンク
【全・SP】バーガーリンク
たいとる


レイ・ポインター氏のAI講座 
「リサーチにおける生成系AIの活用法
     基礎編・定性活用編」

岸田 典子

 

本文

 

2024年5月8日、JMRA研修室にてESOMAR会長 レイ・ポインターさんによる「リサーチャー向け生成AI講座」が開催されました。レイさんは、ESOMARのAIタスクフォースを率い、この分野の最新動向にも深い知見をお持ちです。本講座は、世界中のリサーチャーから人気を博している同氏の最新の生成系AI研修コース(英語)を、日本向けに実施したものです。事前に日本語付きのPDF資料が配布され、また会場ではAIによる自動翻訳字幕も表示されました。
参加者からは、「実演やQ&Aの時間がたっぷりあってよかった」、「明日からの仕事の仕方が変わる」、「こんな風に使えるのかと目から鱗だった」などのコメントを多くいただきました。 ご好評を受け、また「当日は先約があり参加できなかった」という方々からのご要望にお応えして、JMRAでは記録動画の配信を計画しています(有料)。詳細は追ってご案内させていただきます。

午前中の基礎編では、基本的な注意事項から始まり、英語と日本語でのChatGPTのアウトプット量の違い、間違った答えを出すこともある(ハルシネーション)ChatGPTへの問いかけ方(プロンプト)のコツ、どのようなアウトプットが可能なのかを具体的に見せていきます。
伝統的なマーケティングリサーチではデータの信頼性が妥当性の拠り所になっていますが、確率論的オウム(Stochastic Parrot)と(やや揶揄的に)呼ばれている生成AIは、そもそも信頼性は期待できないし、期待すべきものでもないのです。その点で発想の転換が必要です。 そのため、生成AIを活用するにあたり、今、最も重要なのは、適切な質問をする人間側のスキルです。ですが、生成AIもめざましく学習をしているため、数年後にはその重要性も今ほどではなくなっていくだろう」レイさんは言います。
そして、市場調査での用途(調査設計、ディスカッションガイド、アンケートガイド、ペルソナ、分析・レポーティングなど)での活用方法が次々と具体的に紹介されます。
有用な答えを得るためには、明確な質問をし、繰り返すこと。ChatGPTの結果をやみくもに信じるのではなく、アウトプットから理解度を確認しつつ、徐々に自分の求めるものに近づけてゆくプロセスは非常に参考になります。

午後は、定性調査(ソーシャルメディアの情報も含む)で活用できる使い方が、さまざまな例をあげて紹介されました。
例えば、分析での利用で言うと、ChatGPTは、現在マーケティングリサーチで一般的にとられている「コスト的時間的に現実的な分析」ではなく、アカデミックで利用されている本格的で厳密な手法を提案する傾向があります。内容分析、グラウンデッドセオリー、ディスコース分析など、異なる分析手法によってChatGPTの出す分析結果にもそれぞれ異なる特徴が出ることが示されました。この分析手法については、日本語サポートを担当いただいた吉田さんから、わかりやすい補足説明もありました。
また、ペルソナを描いたり、アップロードしたトランスクリプト(発言録)などをベースに、そのペルソナがまだ評価していない新製品に対してどのような回答するという、合成(シンセティック)データを作成することも可能になっています。文章だけでなく、アップロードした写真から撮影した人の特徴・趣味嗜好をまとめて画像にするなど、今後のリサーチ活用の発想に繋がる活用法なども紹介されました。
参加した皆さんのこれからの生成AIの活用幅がさらに広がり、明日からの仕事の仕方が変わってゆくだろうと思わせられる講座でした。

 レイ・ポインター氏の主宰するNewMRでは、本講座で実施した「基礎編」、「定性編」に続き、第三弾「定量編」の講座が予定されています。興味のある方はこちらから申し込みが可能です。

NewMR  https://newmr.org/
Using ChatGPT with Quantitative Research
5月29日(火) 23時~(90分)
参加費:US $195

掲載日

2024.5.21掲載